<オープン戦:阪神2-2楽天>◇9日◇甲子園

 開幕へ、文句なしの投球や!

 阪神能見篤史投手(31)が9日、11年初の甲子園試合となったオープン戦楽天戦に先発し、5回を無安打無失点に封じ込んだ。外野に打球を飛ばさせない圧巻の投球。すでに3・25開幕投手に内定しており、シーズンでの快投連発を、もう待ち切れない!

 非の打ちどころがない。能見と楽天打線。誰の目にも格が違って見えた。3月中旬とは思えない寒空。強い浜風。「風が強くて、足を上げた時にバランスを崩しそうになった」。そんな悪条件の中、1度も外野に打球を飛ばさせず、5回をノーヒット投球。にもかかわらず…。驚くほど自分に厳しい。目指す頂きが異次元に高い。

 能見

 どうですかね。四球もあったし、カウントを作れない部分が多かった。もうひとつ、しっくり来ていない。ボールの質がもうひとつ足りない。もう少し(投球時に)タメができないといけない。

 客観的に見れば、文句のつけようがない投球だった。初回はフォークを決め球に、メジャー帰りの1番松井稼から2連続空振り三振。寒さもあり、直球は最速141キロ。それでもフォークにチェンジアップ、スライダー…。全球種を駆使し、まったく的を絞らせない。さらに打者をあざ笑うかのように、時折腕の位置を下げて投げる。まともにバットを振らせなかった。

 能見

 ヤフーの時よりは少しマシになった。(今季から導入される統一球は)打球音が鈍い気がする。打者の仕上がりはこれからだけど、今のところ投手に有利かなと思う。

 辛口採点の中、高いレベルでの上昇も実感する。前回2日ソフトバンク戦(福岡ヤフードーム)は4回3安打無失点。統一球になった影響でスライダーが縦曲がりしていたが、この日は昨季までの横曲がりに近づいたという。5回60球を投げ、4奪三振で無安打2四球。11年甲子園初戦を快投で彩った。

 3・25開幕投手に内定している。対戦相手ヤクルトとは通算3勝5敗、防御率5・90。相性は良くないが、逃げも隠れもしない。かつて、球団スコアラーの1人はこう話した。「苦手な球団のビデオやデータは、チェックしに来る選手とそうでない選手とタイプが分かれる。能見はどんどん見に来る。精神的に強いんだと思う」。絶対に、やられたままで終わらない。

 能見

 (阪神は)皆さんゼロに抑えている。投手はゼロに抑えるのが第一。ピンチでもホームにかえさない意識を持っている。去年ケガ(右足甲骨折で離脱)した分がある。とにかく1年間チームに貢献したい。

 好調投手陣を引っ張る1人は間違いなく能見。調子を上向きかと問われ「微妙にね」。不敵な笑みが何とも頼もしい。【佐井陽介】