25日に予定されていたパ・リーグの開幕が約3週間後の4月12日に延期されることが16日、分かった。今日17日にも発表される。11日に発生した東日本大震災を受け、15日の臨時理事会でリーグとして延期方針を確認していた。各球団幹部がこの日も話し合いを重ね、レギュラーシーズンの試合数144を確保する方針で、日程調整が大筋で固まったとみられる。セ・リーグは予定通り25日開幕の方向だが、パは甚大な震災被害と社会情勢に最大限配慮して開幕する。

 「4・12パ開幕」は、日々変化する社会情勢の中で導き出した建設的な結論だ。前日の実行委員会で開幕日については持ち帰り議論となった。一夜明け、パ各球団幹部は迅速かつ真摯(しんし)に討議を重ねた。パ理事長の楽天井上オーナー代行は「基本的な方向性はある程度固まっている。議論の中で決まったことはない。昨日までの話を、より深めたようなもの」と説明。前日の理事会で一致をみた「延期」の結論から、最善のスケジュールを探った。

 6球団の試合数をそろえないと勝率による順位をつけることができないため、プロ野球公式戦は「節」という単位で区切られている。変更される開幕日の4月12日は、「第4節初日」に該当する。4月の「○節初日」は5、12、19、26の各日がある。この4日が開幕のタイミングだった。前日の理事会で「2から3週間の延期」という方向性が定まっており、4月12日が選定された。

 延期される1~3節の各試合は中止とせず、しかるべき時期に先送りし、レギュラーシーズン144試合は維持するとみられる。特にシーズン後半で試合日程が詰まることが考えられる。クライマックスシリーズの試合数、システムを調整して対処する可能性が高い。前日の実行委員会で、プロ野球選手会は総意として「延期するべき」との方針を公にした。同時に「日程が過密となっても決定に従う」と歩み寄る姿勢も示した。「労使間」が有機的に歩み寄る形で導き出された日程といえる。

 開幕まで3週間以上という期間があれば、調整度合いによる有利不利の不公平感が解消される。各チームは自軍の練習に加え、他チームと試合を重ねることができる。何よりこの3週間で、日本国内が震災復旧に全力を尽くし、ある程度の落ち着きが生まれている希望がある。プロ野球を観戦し、励みや糧とできる国民が増えている期待がある。

 日程が複雑な上、想定していた興行収益も変わる。1度固めた開幕日の延期は重い判断ではある。だがプロスポーツ各界で試合中止、延期が相次ぐ中、パ・リーグも良識に従い英断を下した。