ソフトバンク和田毅投手(30)が28日、完投試合を大幅に増やすことを宣言した。昨季リーグMVPに輝いたが、完投数はわずか1試合。終盤に過密日程となる可能性もあり、中継ぎの負担を軽減するのが狙い。肉体改造を経て、スタミナもアップ。まずは、開幕投手を務める4月12日オリックス戦(京セラドーム大阪)を1人で投げ切る。

 MVP男は完投にこだわる。摂津が先発転向し、甲藤が右肘痛で盤石だったリリーフ陣が、解体された。さらに開幕延期の影響で、シーズン終盤に過密日程が続く可能性もある。中継ぎ陣の負担を減らすため、最後までマウンドに立つ決意を固めた。

 「(今も)完投できる状態になっている。1回、ピークになっている。投げる体はできている。(完投数を増やすのは)問題ない」。

 オフには成人男性の約3倍にあたる1日平均6000キロカロリーを摂取し、過去最重量の81・5キロをキープした。寝る前にバナナを食べるなど、パワーアップとスタミナ増に余念がない。肉体改造の効果で直球の威力を増し、得意のスライダーだけでなくカーブも使いこなせるようになった。

 昨季は17勝をあげ、最多勝のタイトルを獲得したが、完投数は1試合。今年は、中継ぎ陣に借りを返す。

 「投球をしない日は、走ったり(筋力)トレーニングを増やしたりした。こういう感じで投げればいいのかというのは、ある程度は分かってきた」。

 2季ぶりに開幕投手を務める。4月12日のオリックス戦でももちろん目指すは完投勝利だ。2年前の開幕戦ではオリックス相手に完封勝利をあげた。昨季のオリックス戦は4勝2敗で防御率1・58。相性のいい相手を封じ込め、好スタートを切りたいところだ。

 開幕まであと2試合に登板する予定。29日はロッテとの練習試合(鎌ケ谷)に登板する。この日は福岡ヤフードームでダッシュや体幹トレーニングを行った後、福岡空港発の航空機で首都圏へ移動した。

 「(鎌ケ谷は)初めての球場なので、いい練習になると思う。今は試すというより開幕に向けて体をケアしながら、仕上げていくことが大事になってくる」。

 斉藤学投手コーチは「和田にはすべてを任せている。完投したいというのは本人の強い意志を感じる」と話した。中継ぎに優しい最多勝左腕が、ホークスをけん引する。