阪神が今季海外移籍も可能なFA権を再取得する新井貴浩内野手(34)と国内FA権を取得する鳥谷敬内野手(29)に対し、取得当日に残留交渉することが27日、分かった。ともに1軍登録日数の145日を満たせば、最短9月3日に権利を得る。23日の国内FA権取得日に電撃交渉を行った藤川球児投手(30)同様、流出阻止へ誠意を尽くす。

 阪神がチームの顔の流出阻止へ、電光石火の残留交渉を行う。今季海外移籍も可能なFA権を再取得する新井と国内FA権を取得する鳥谷に対し、権利取得当日に第1回交渉を持つというものだ。球団首脳は「(シーズン終盤で)チームの状態がどうかというのはあるけど、節目の日には声をかけます。それは当然」と説明。登録抹消などがなければ最短9月3日に同時取得する3、4番コンビに速攻で球団の誠意を伝える。

 新井、鳥谷ともに、FAに対する態度はまだ明確にしていない。ともにタテジマへの愛着は深いが、流出のリスクはゼロではない。2人の実力を考えても、他球団がFAでの獲得に興味を示す可能性は十分ある。3、4番コンビがライバル球団移籍となればチームの一大事。そこでシーズンの終了を待たず、阪神が絶妙のタイミングで先手を打つ。

 沼沢本部長は昨年末、新井との契約更改の席で「来年はシーズン中から話がしたい」と残留交渉を予約。鳥谷にも「必要な戦力ですから、もちろんシーズン中から動いていく」と話していた。シーズン中から、折に触れて残留への思いを伝えていく。そして正式な残留要請を権利取得当日に行う。実際、23日に国内FA権を取得した藤川とも即日、甲子園球場のクラブハウス内で交渉を持った。守護神も「その日、話してもらえたのはよかった」と、球団の対応に感謝していた。

 誠意を行動で示す1番のモノ差しは、スピードになる。球団は今後、シーズンを通した活躍度合も見ながら、複数年など提示する契約条件の整備を進めていく。新井、鳥谷、そして藤川と主軸と守護神のFAラッシュとなる今季。12年以降の戦いを考えた時、だれ1人として欠かせない存在だ。阪神が誠意の限りを尽くして、残留交渉に臨む。