<オリックス4-5阪神>◇17日◇京セラドーム大阪飛ぶ鳥を落とす勢い!
なんていうけど、右手負傷の鳥谷もうかうかしてられない?
セ・パ交流戦の幕開け、注目の関西ダービーマッチで大暴れしたのはまたも上本博紀内野手(24)だった。2番遊撃で先発し3安打2打点、2盗塁とノンストップ。怖いもの知らずの若虎が、早大の大先輩オリックス岡田監督をギャフンと言わせた。
173センチ、63キロが元気よく駆けた。まさか、まさか…。ワクワク気分で見守る虎党の耳に、3度目の快音が届いた。左翼線にライナーが弾むと、これでもかと黄色いメガホンがたたかれる。二塁ベース上でクールな上本へ、耳をつんざく大音量の声援だ。
「とにかく落ち着いて、思い切ってプレーしようと思っていた。とにかく次につなぐ気持ちで」。
2点差に迫られた4回2死三塁。フルカウントからの9球目。内角低め150キロをミートし、左翼線にはじき返した。再び流れを引き戻す適時二塁打。値千金の1本となった。
鳥谷が15日中日戦(甲子園)で右手人さし指を負傷。まだ遊撃守備には就けず、この日はDH出場した。代役はもちろん上本だ。15日中日戦は急きょ途中出場し、決勝打を含む2二塁打。相手がパ・リーグに変わっても勢いは本物だった。
初回1死から中前打を放ち二盗。1点を追う3回1死一塁では寺原の内角142キロに打ち勝った。同点打となる左中間二塁打。停滞ムードを吹き飛ばした。
さらに、だ。4番新井の初球、外角149キロ直球で果敢に走り、三盗成功だ。「僕はそれが仕事なので」。常にスタートをイメージし、首脳陣のサインに応えた。新井の右前適時打で逆転のホームイン。「走るのは僕の売り。常にプレッシャーをかけていきたい」。その勇気が、この回4得点の逆転劇を導いた。
「ビビリなんです…」。かつては自身のことを苦笑いで評していた。肝試しはご法度で経験ゼロ。お化け屋敷に“参戦”したのも数えるほどだ。中学時代、地元の広島・福山市の近所にある小さな遊園地のお化け屋敷に入った。野球部仲間で総勢5人。この時だけは勝利した。
「あれは大丈夫でした。(仕掛けに)人を使わず、物が倒れてくるばかりで。リアル感がなく、作り物と分かっていたので冷静でした。ただ…、ゴキブリだけはダメなんです…」。
実はゴキブリが大の苦手だという。「たたいたりするのも無理なんです。もし目の前に現れたら?
ダッシュで逃げます!」。そう照れ笑いしていた優しい若者と背番号4が、同一人物とは思えない。いざグラウンドに立てば常に果敢。オンとオフのギャップも魅力の1つだ。
「常にうまくなろうと思っています。満足すると、そこで止まってしまう気がする。競争なので」。
猛打賞&2盗塁。交流戦開幕試合、関西ダービーの勝利をけん引した。「僕1人じゃなく、チーム全員がつながって勝てました」。どこまでも謙虚な上本だが…。ビギナーズラックだとは誰も思わない。【佐井陽介】



