<西武5-2横浜>◇18日◇西武ドーム

 西武が石井一久投手(37)の奪三振ショーで3連勝を飾った。7回で10三振を奪い、6安打1失点で今季2勝目を挙げた。最速147キロの直球が走り、通算41度目の2ケタ奪三振をマーク。渡辺久信監督(45)が「全盛期のようだった」と絶賛した。前人未到の2000投球回未満での最速2000奪三振へ、あと「38」とした。

 多くの投手がうらやむ言葉を、あっさりと言ってのけてしまう。1年ぶりに2ケタをマークした三振へのこだわりを、石井一は「ぼくの場合、手っ取り早いアウトの取り方が三振。内野ゴロを打たせる方が難しい」と表現した。

 直球とスライダー。軸になる球種はプロ入りして20年間変わらない。2つの球種で10三振を奪った。渡辺監督は「右打者の外のコントロールが抜群。全盛期のようだった」と絶賛した最速は147キロ。石井一は「西武ドームのスピードガンが今年はちょっと速くなった」と謙遜(けんそん)したが、「球速以上に力があった」と胸を張った。

 ピンチでは狙って取りにいく。3点リードの4回、連打で無死一、三塁となり、ギアを1段上げた。村田、ハーパーを外角直球で連続三振。続く一輝に3球勝負で詰まらせたが、中前適時打を許し「もったいない。気を付けて投げていれば三振がとれた」。詰めの甘さを反省したが、本気になったこの回はアウト3つをすべて三振でとった。

 前人未到の記録が迫っている。日本通算2000奪三振まであと「38」。過去19人いるが、2000投球回未満での達成は誰もいない。最速は74年阪神江夏の2072回。対して、石井一はまだ1916回1/3だ。1イニングに1個以上のハイペース。1000奪三振は近鉄野茂に次いで2位のスピードだったが、このままいけば、最速記録更新は時間の問題だ。

 今や恒例となった、おとぼけコメントで笑いもとった。今年初めての本拠地お立ち台で「コンタクトレンズがずれて、みなさんが見えませんが応援ありがとうございました」と期待にこたえた。トークも投球も、技術がさえ渡る37歳が「三振王」へカウントダウンに入った。【柴田猛夫】