<ソフトバンク1-0中日>◇5月31日◇福岡ヤフードーム

 育成の星から「左腕3本柱」に仲間入りだ!

 ソフトバンク山田大樹投手(22)が、自己最多の5勝目をマークした。交流戦2位の中日を相手に7回4安打無失点。三塁を踏ませない、安定した投球で前回登板から16イニング連続無失点とした。杉内、和田の両左腕エースにひけをとらない3人目の柱が、交流戦Vへの勢いを加速させた。

 山田は攻めた。1点リードの7回表2死。打席には5番ブランコ。2球連続で、内角ギリギリ、懐をえぐるようなスライダーを投じた。3球目。またしても内角の厳しいコースへ投じたスライダーが、わずかな制球ミスで死球となった。

 山田

 絶対に本塁打を打たれてはいけない場面。食うか食われるか。フォアボールになってもいいつもりで厳しいところを攻めた。

 チームを勝たせるための投球をした。2回からずっと、1点しかないリードを守ってきた。7回も無死から3番森野、4番和田を連続三振。今季最多の8三振を奪うなど球も走っていたが、重要な局面を前に冷静になった。最も大事なのはチームを勝たせるための投球。ブランコを歩かせても、続く平田を二飛に打ち取り7回無失点で役目を終えた。早くも昨季の勝ち星を上回る5勝目だ。

 山田

 ピッチャー的にはまだまだ。後ろにすごいピッチャーがいるので8、9回は安心しきって見てましたけど、1-0で完封できる投手にならないといけない。

 投球も志も、もはやエース級だ。日本人の育成出身投手初の完封勝利をマークした5月20日の阪神戦から、これで16イニング無失点。杉内、和田の両エースを上回る白星を挙げ、防御率も2人にひけをとらない2・05と安定感を見せている。だが「育成の心」は決して失わず、謙虚な姿勢を貫いている。「自分なんてカスみたいな投手」と、真剣な表情で話す。

 山田

 成瀬さんからも言われている。3年やって1人前。今調子に乗るわけにはいかない。

 オフに弟子入りを志願し自主トレを行ったロッテ成瀬の教えを守り、3年続けて結果を残すまでは派手な遊びなどをしないことを心に決めている。開幕前に2ケタ勝利を最低限のノルマに掲げたが、早くもその半分をクリアした。

 山田

 (5勝は)通過点。やっと折り返し。また0勝0敗からの気持ちで投げたい。

 「左腕3本柱」の一角に成長した男が、交流戦Vそして日本一まで、マウンドで攻め続ける。【倉成孝史】