<ソフトバンク5-2日本ハム>◇26日◇福岡ヤフードーム

 復活「SBM」が連敗を止める奪三振ショーだ。先発転向1年目のソフトバンク摂津正投手(29)がプロ最多12三振を奪い7勝目を挙げた。7回2失点に抑えると、ファルケンボーグ、馬原とつなぐ今季初の「SBM」リレー。3人で計17奪三振とねじ伏せ、眼下に迫ってきた日本ハムを突き放した。

 まるで精密機械だ。摂津が寸分狂わぬ制球で、三振の山を築く。6回2死走者なし。打者は中田だ。132キロのシンカーを細川のミット目がけて投げ込む。内角低めへストンと落ちた球に、若き大砲のバットは空を切った。プロ入り初の2ケタ奪三振。「ミスターコントロール」が、自分の殻を破った瞬間だ。

 「初回からコントロールが良かったので、細川さんのリードを信じて、自信を持って投げることができた。自分は三振を奪うタイプではない。でも、これだけ三振を取れたことは自信になった」。

 再開即の首位決戦で日本ハムに2連敗。負ければ、同率首位に並ばれる重圧の中で躍動した。ストライクゾーンぎりぎりに直球を投げ込み、シンカーや100キロ台のスローカーブで翻弄(ほんろう)する。「投手は制球が命」。自分に常に言い聞かせる投球に徹し、7回2失点。プロ入り最多の12三振を奪い、日本ハムの勢いを止めた。

 「昨日負けてプレッシャーは感じていた。でも、そういう状況で深く考えてもしかたがない」。

 8回はファルケンボーグが3者連続三振。9回は馬原が連続三振で締めた。昨季までの最強救援陣「SBM」で9回を投げ抜いた。ロッカールームでファルケンボーグから「SBMオンリーね」と声を掛けられた摂津から笑みがこぼれた。

 「今日は110球でしょ。120~130球は投げたい。夏場に一番しんどくなる時期がくる」

 昨季まで中継ぎエースを務め、2年連続で70試合以上を投げた。救援陣のつらさは痛いほど分かっている。ブルペンに頼る時は必ず来る。だから、少しでも負担を減らしたい。次の目標は、2度目の完投勝利に設定した。

 19日の横浜戦に続いて、連敗ストッパーになった。秋山監督は「自分の投球をしていた。前回も連敗を止めた。テンポがいいからね」と絶賛した。土壇場で守った単独首位。自信をつけた右のエースが夏場もフル回転する。【奈島宏樹】