球宴でもオレ流がさく裂する。マツダオールスターゲーム(22日=ナゴヤドーム、23日=QVCマリン、24日=Kスタ宮城)でセ・リーグの指揮を執る中日落合博満監督(57)が4日、第1戦をリリーフ9人リレーで臨むことを明かした。中日岩瀬仁紀投手(36)を先発に、阪神藤川球児投手(30)を抑えに起用する。2人合計460セーブのリーグ2大ストッパーを軸に、豪華リレーで強力パ・リーグ打線を封じる。

 監督推薦による出場選手が発表され、1枠を残して球宴を彩る選手たちが出そろった。セの指揮を執る落合監督の「オレ流構想」も固まった。

 落合監督

 第1戦は先発岩瀬、抑えは藤川。これは決まっている。浅尾は藤川の前に投げさせるかな。初戦は1人1イニングずつ、リリーフを9人でいくよ。

 オール救援陣による9人継投。前回指揮を執った07年の第1戦では故障明けの黒田(当時広島、現ドジャース)も入ったが、やはり9人継投でパ・リーグを1安打完封し、話題を呼んだ。今回の投手陣は現時点で岩瀬、藤川、中日浅尾、阪神榎田、ヤクルト林昌勇、横浜山口、江尻、広島サファテ、巨人久保でちょうど9人。球宴史上初、全員専門職による「完全リリーフ継投」が見られそうだ。

 岩瀬の先発について落合監督は「いつもだれかに荒らされた後のマウンドで投げているんだ。たまにはきれいなマウンドで投げさせてやりたいじゃないか」と、言ってニヤリと笑った。1日巨人戦ではピンチを招いた岩瀬をイニング途中で交代させる“非情采配”も見せたが、やはり守護神への信頼は揺るぎない。

 ナゴヤドームで会見した岩瀬は指揮官の粋な演出に恐縮した。「(先発は)何の条件もないところでただ純粋に楽しめる部分もある。緊張するんじゃないですか。普段とは違う時間帯なんで。ただ、僕でいいのかなというのは正直あります…」。6月に達成したセーブ日本新記録への“ご褒美”とも受け取れる。07年の球宴でも先発を打診されたが、先発経験のある上原に譲った左腕が、人生初の球宴先発マウンドに向かう。

 一見、突拍子もない発想に見える救援9人リレーだが、各球団や先発投手への配慮の意味合いも大きい。20日の前半最終戦から22日の第1戦までは中1日。球宴先発投手は中3日以内になる可能性が高く負担を強いられる。一方でリリーフなら負担はシーズン中と変わらないというわけだ。「だれが直前に先発しているか分からないじゃないか。オレはこれが一番良い方法だと思っている」と、起用法の意図を明かす。

 各球団の主力先発投手の負担を減らし、交流戦で負け越したパ・リーグへの対抗策にもなる。何より各球団で最も信頼される救援陣9人がつなぐ夢のリレーは球宴ならでは。勝負の鬼と化すシーズン中とは、ひと味違った采配が夢舞台を彩る。【鈴木忠平】