<ヤクルト3-0阪神>◇10日◇秋田
プロ野球開催が年に数回しかない秋田の観衆を、ヤクルト青木宣親外野手(29)がレーザービームで酔わせた。7回2死一、二塁。鳥谷の中前打に猛チャージ。みるみる打球との距離をつめる。本塁へワンバウンドのストライク送球。二塁走者・藤井彰をアウトにし「終わってみれば、一番の勝負どころだった」。押せ押せの阪神に傾きかけた流れを断ち切り、自らのバットで挙げたリードを死守して胸を張った。
5年連続ゴールデングラブ賞の青木からすれば、当然のプレーかもしれないが、入念な準備は見逃せない。試合前、シートノック以外に6本の打球を受け、ホーム返球を繰り返した。ナイターだった前日と違う湿気を含んだ芝の状態、打球の見え方、転がり方の確認を徹底。「地方球場は大体チャージしにくい。イレギュラーもしていたし、捕ることを注意した。捕った時にいける感じはあった」。慣れない球場の特性を頭に入れ、練習でイメージした通りに体が動いた。
前進守備ではなく、定位置で守らせた小川監督は「アウトにする守備位置じゃなかった。1点は覚悟した」と驚いた。青木が逆に、驚かされたこともある。今年の春季キャンプ。柔軟体操している隣に座ってきて「大丈夫か、何か悩みでもあるのか」と声をかけられた。青木は「突然言われたこっちがビックリでした。疲れがピークだったから、元気なく見えたんでしょうね」と細やかな気配りが心にしみた。
打撃でもワンチャンスを生かした先制打など2安打。指揮官の信頼に、青木が攻守フル回転でこたえた。【柴田猛夫】



