<楽天0-6ソフトバンク>◇12日◇Kスタ宮城

 ソフトバンクのD・J・ホールトン投手(31)が、チーム10勝一番乗りだ。9連戦初戦の先発を務め6回まで無安打に抑える快投。7回先頭、ジャンプした川崎が惜しくもつかめない当たりで初安打を許したが、後続を打ち取り勝利に貢献。3戦連続の無失点リレーでチームは貯金22。球宴前に2ケタ勝利の外国人投手は球団で64年スタンカ以来となった。

 絶好調でなくても、スコアボードにはゼロが並ぶ。失策、四球、死球で2死満塁となった4回。それでもホールトンは、動じない。7番ガルシアに外角低め133キロのスライダーを投げ込む。相手を泳がせ二飛に打ちとると、表情を変えずにベンチへ引き揚げた。

 「(無安打無失点は)意識しなかったよ。四死球を出したりしたから」。

 最大のピンチを切り抜けるとノーヒットノーランさえ見えてきた。6回までHランプは灯らないまま。7回先頭の岩村に遊撃強襲の安打を許し、快挙は逃した。この回で降板したが、悔いはなかった。

 ホークスの歴史上、前半戦だけで10勝に到達した外国人投手は64年のスタンカ以来となる。自身としても09年以来、2度目の2ケタ勝利。秋山監督は「我慢してよく投げたね」とねぎらった。

 「これだけ早くに勝てたことはうれしい。田上のホームランが大きかったね。ソロ(アーチ)くらいは打たれてもいいという気持ちで投げることができた」。

 のらりくらりと楽天打線をかわした。だが、本調子とは言えなかった。制球が定まらずに変化球に切れがなかった。高山投手コーチからは「良くなかったよ。体が思うように動いていない。苦しいカウントで相手に助けてもらった部分もある。6回まで無安打無失点が不思議なくらい」と厳しく評価された。それでも、無失点に抑えてしまうのが、ホールトンのつかみどころのなさと言える。

 来日4年目。日本の生活にもなじんだ。だが、米国が恋しくなることもある。オフには自宅から取り寄せた「ミスタービーン」のDVDを見てリラックスする。お笑いが好きで同僚とも英語で冗談を言う。ムードメーカーにもなる助っ人の好投で9連戦の初戦を白星で飾った。

 「最近、ずっと制球が良くない。ストライクを先行させることを考えたいね」。

 勝ってもおごることなく、反省を繰り返した。チームは3試合連続の無失点リレー。ホールトン自身も3連勝だ。真夏も白星を重ね、涼しくなった秋に歓喜の時を迎えるつもりだ。【奈島宏樹】