<日本ハム3-2楽天>◇19日◇東京ドーム

 日本ハム中田翔内野手(22)が、新打法で勝ち越し打を放った。1-1の5回2死一、二塁のチャンスに、左前適時打を放って今季50打点目をマーク。がに股のノーステップ打法から、左足を軸足側にすり足で引くフォームに変更し、タイミングを取った。チームも5連勝で、ソフトバンクと並んで首位タイをキープした。

 シーズンの折り返しを目前に、中田が、まずは最初の節目に到達した。同点の5回2死一、二塁。内角直球に詰まらされながらも、三遊間を破る左前適時打。今季12度目の決勝打で、リーグ2位タイの打点は、50に到達した。「だいぶ詰まっていたけど、気合で打ちました。ホームラン、打率よりも打点にこだわってやっている。チームの勝利に貢献できてうれしいです」。丸刈り頭から流れ落ちる汗を、満足そうにぬぐった。

 怪物はこの日、進化していた。見た目には小さくても、大きな変化。右太ももに拳でパンチを入れ、がに股に構えるところまでは一緒。だが、ノーステップではなく、投手の投球に合わせて左足を軸足側へ引き、タイミングを取った。「自分に余裕があるときにはいろいろやっていきたい。久しぶりに足を引いたけど、バットが振れていた」。たしかな手応えをつかんでいた。

 目線を一定に保ち、体がぶれないことを心掛けることで定着したノーステップ打法。ファンにもすっかりおなじみになったが、本人は「あれは全然完成形ではない」と言い続け、試合前のフリー打撃では、すり足などを日々試してきた。「最終的には足を上げて打てるようになれたらいい」。足を上げる方が、力はボールへ伝えやすい。今は“真のホームラン打者”に成長するための過程ととらえ、確実性を上げる努力を続けてきた。

 「フォームを固定することは嫌い。その日の状態、調子もあるし、対戦相手投手だって違う」。今シーズン中もバットの長さ、重さは試合によって変えながら対応してきた。現状に満足することなく、常に上を目指してやってきた。

 71試合目での50打点到達は、依然シーズン100打点を超えるハイペース。「まだまだ半分。これからです。気持ちを切らさずやっていきたい。(打点は)取れるだけ取りたいですね」。成長を続ける若き大砲。シーズンが終わるころ、どんな強打者になっているのかが、ますます楽しみになってきた。【本間翼】