<横浜3-6ヤクルト>◇19日◇横浜

 不振に悩んでいたキングがついに目覚めた。ヤクルトの本塁打王ウラディミール・バレンティン外野手(27)が、2打席連続本塁打を放った。5回、高崎の高めに浮いたスライダーを18号3ランとすると、7回には藤江の外角高め直球をバックスクリーンへ19号。どちらも強烈な破裂音を残す、破壊力抜群の当たりだった。

 開幕から6月14日まで3割3分1厘16本塁打と打ちまくっていたのが、翌日から当たりが止まった。6月15日以降、前夜の試合までは87打数10安打1本塁打で1割1分5厘。首脳陣は打順を8番に下げることも視野に入れながら復活を待っていた。

 きっかけとなったのは相川のバットだった。この日の打撃練習で、何げなく借りてひと振りした。自分のバットより0・5インチ短い33・5インチのバットは、同じ920グラムでも軽く感じた。「最初は1打席だけ借りるつもりだった。あまりに感触が良かったんで、使い続けちゃいました」。来日初の4安打に、5月13日の横浜戦(横浜スタジアム)以来となる2打席連続弾は、すべて相川のバットから生まれた。

 短いバットが扱いやすかったのか、この日は課題が修正されていた。これまでよりわずかに前のポイントでとらえながら、左の壁が崩れなかった。突然のお目覚めで、今後に期待したくなるところだが「爆発してくれたところで、前半戦、終わってしまいましたね」と小川監督は苦笑い。本当に目覚めたのか、今日20日の試合の後は、球宴で確かめるしかない。【竹内智信】