大規模“停球”を回避せよ-。今日2日から13連戦を迎える楽天の先発投手陣に、節電ならぬ“節球”指令が下りた。夏真っ盛りの中での大型連戦では、先発ローテーションのやりくりが1つのカギとなる。星野仙一監督(64)は1日、これまで通り6人を中5日で回す考えを示すと同時に、先発陣には試合前のブルペン、試合中のキャッチボールも含めた投球総数を減らすように求めた。

 スタミナ切れで、もう投げられません…。停電ならぬ“停球”回避へ、星野監督が異例の“節球令”を出した。登板中の投手が味方の攻撃中にベンチ前で行うキャッチボール。日本球界では一般的な光景だが、「春先ならまだしも、夏にはいらんだろう」とズバリ指摘した。

 背景には、今日2日からの13連戦がある。「中5日で行くぞ」。仙台への帰途中のJR東京駅で、星野監督は大型連戦中の先発ローテについて聞かれるや即答した。先発を1枚増やし7人で、という選択肢もありそうだが、「甘やかしちゃいけない」とバッサリ。間隔をつめることで、これまで同様に6人で回すことを決めた。

 ただ、フル回転を強いるばかりでは、オーバーヒートの危険がある。疲労蓄積の度合いをいかに少なくするか。その秘策が、登板前のブルペンでの投球数から、試合中のキャッチボールまで含めた、トータルの投球数管理だった。星野監督は「どうやって球数を減らすか考えないといけない」と語気を強めた。

 例えば勝ち頭、田中の場合。ここまで16試合で計1879球、1試合平均117球を投げた。試合前のブルペンで約45球。攻撃中のキャッチボールが1イニング15球とすれば、ホームでの完投で8イニング計120球。さらに、毎回5球の正規の投球練習を含めると、1試合に投げる球数は327球にものぼる。

 “節球”の数値目標は定められていないが、昨今の節電事情にあてはめて「15%減」なら、49球少なくて済む計算になる。まめに電気スイッチを切るように、1球1球、減らしていくしかなさそうだ。

 ただし、次のイニングへの準備となる攻撃中のキャッチボールは「続けたい」という声もある。何より、試合での球数を減らすのがベスト。佐藤投手コーチは「2球で追い込んだ後、明らかなボール球なら要らない」と「3球勝負OK」を打ち出した。要は、いかに工夫して球数を減らし、体力を温存しつつ、勝つかということ。星野監督の狙いもそこにある。後半戦チームは3勝3敗と勝率5割を維持。苦しみを伴う大型連戦でも、エコに投げて浮上の足掛かりとしたい。【古川真弥】