<ウエスタン・リーグ:阪神2-6中日>◇26日◇鳴尾浜

 虎よ覚悟せよ!

 右手中指を痛めて2軍調整中の中日トニ・ブランコ内野手(30)が、ウエスタン・リーグ阪神戦に5番ファーストで先発出場。左越えの推定150メートル弾で復活をアピールした。早ければ30日からの阪神3連戦(ナゴヤドーム)で1軍復帰するB砲が、景気づけの虎狩り予告アーチだ。

 来るべき日への予告弾だった。目の覚めるような打球が復活を印象づけた。まだ真夏の日差しがまぶしい2回だった。先頭で打席に立ったブランコは、阪神清原の甘く入ったフォークに反応。持ち味のフルスイングでボールをつかまえた。打球は一直線に、阪神2軍本拠地・鳴尾浜球場の左翼防護ネット上部にズドン!

 推定150メートルの特大弾だった。

 ブランコ

 感触はすごく良かったよ。しっかりとボールをジャストミートすることができた。問題なくできた。予想した以上の結果が出てうれしいね。

 代名詞とも言える豪快な一撃に思わず白い歯をキラリと光らせた。右手中指の負傷から24日に実戦に戻ったばかり。この日が復帰2戦。故障後初めてとなった守備も問題ないようだ。

 チームはブランコを必要としている。24、25日のヤクルト戦では2日連続で2桁安打を記録したが、チーム打率2割2分7厘はリーグ最下位。何よりも55本塁打(リーグ5位)とパンチ力に欠ける。連戦が続く今後の日程を考えれば、B砲の復帰は待ち遠しくて仕方がない。

 朗報は1軍の横浜遠征中の首脳陣にもすぐに届けられた。石嶺打撃コーチも「打ったらしいね。ブランコは振れるかどうかが大事だから。これからの連戦はより重要になってくる。(戻ってくることになれば)もちろん、大きい」と目を輝かせた。

 ブランコ

 チームの状況は分かっている。自分で決めることではないが、呼ばれたら十分にプレーはできる。

 まっすぐに前を見据える精悍(せいかん)な顔は、まさに“救世主”のよう。早ければ、今月30日からの阪神3連戦で1軍復帰する可能性はある。この日の横浜戦が雨天中止となり、10月以降にも16試合が組まれる予定。ダンゴレースの決着はまだまだ先だけに、大砲が暴れる舞台はいくらでもある。球団史上初の連覇へ。混セを制するには、この男の力が必要だ。【桝井聡】