<ヤクルト4-2広島>◇1日◇神宮

 4番が連敗を止めた。5連敗中だった首位ヤクルトは1回、広島に先制を許す嫌な立ち上がり。しかし、その裏走者を2人置いて、広島先発篠田から畠山和洋内野手(28)が、左翼へ豪快に逆転の16号3ランを放った。2回にも1点を追加し、わずか3安打で挙げた4点を5投手の継投で守りきった。今日2日から、2ゲーム差の2位巨人と3連戦。首位攻防戦を前に、価値ある勝利を挙げた。

 追い込まれていたとは思えない力強さだった。1ボール2ストライク。畠山が“マン振り”で、連敗を止めにかかった。「状態どうこういってる時期じゃない。結果を怖がらずにいった。なんでもいいから、入ってくれと思った」。願いをこめた打球が、左翼席に届いた。不運な当たりが続いて先制された直後。連敗中の重苦しさが増した嫌なムードを一変させる、爽快な逆転3ランだった。

 5連敗中はわずか1打点。4番の責任を抱えていた。「1つ勝ちがほしいという焦りがあった」と漏らした。初めての優勝争い。4番にかかる重圧は、打ちまくったシーズン序盤の比ではない。ヤクルトが最後にリーグ制覇したのは01年で「入団した年で、1軍のことはどうでもよかった。その後も、1勝の重みが少ない年が多かった。こんな経験はそう簡単にできない」と失敗も肥やしにする。

 理想の4番像はない。「4の1、5の1でもいい。チャンスでつないだり、かえしたり、場面ごとに役割を果たせたら」と言い聞かせる。精神面は小川監督に散々鍛えられた。2軍監督時代、練習前に1人だけレフトからライトのポール間ダッシュを何往復もやらされた。右打ちを覚え、打率を稼いで中距離ヒッターのようになり始めると「小さくまとまるな」と一喝された。その教えが、流れを呼び込む1発につながった。

 小川監督は「(広島篠田が)その後、立ち直って完璧に抑えられたので、畠山の1発は大きかった。久しぶりに勝った感じで疲れました」と安堵(あんど)の笑みを浮かべた。主砲のリードを非情采配で死守した。プロ2勝目の権利を得るまであと1死だった先発赤川を交代させ「こういう時期になって、非情にならざるを得なかった」と継投策を打って逃げ切った。成長途上の4番を育てながら、執念の采配で10年ぶり優勝へ突き進む。【柴田猛夫】