楽天岩隈久志投手(30)は今日12日、出場登録日数が9年に達し、海外移籍が可能となるFA(フリーエージェント)権利を取得する。大きな節目に到達する岩隈は、「シーズン中なので、今は何も考えていません。チームが勝つことに集中しています。終わったら球団と話し合うことはあるかもしれません」と述べた。Aクラス入りを激しく争う現状に配慮し、一切の意思表示を避けた。

 ただ、岩隈の周辺は今オフのFA移籍を前提とし、粛々と準備を進めている。メジャー各球団の担当者は権利取得日、登板日を正確に把握し、状態を精査している。秋口に入っても動向が不透明な選手に対しての調査は、残留時のリスクなどを考慮し徐々に減少していくのが一般的。だが岩隈に関しては、後半戦に入り投球の直接視察が増加している。

 ツインズ、ジャイアンツ、ダイヤモンドバックス、エンゼルス、オリオールズなどが調査を継続している。オ軍のように、複数の編成担当者が海外からわざわざ足を運ぶケースもある。今オフの米FA市場は先発投手が手薄で、岩隈の評価は安定して高い。FA権を行使した際は、複数球団が獲得に意欲を示し争奪戦となる可能性が高い。

 岩隈は昨オフ、入札(ポスティング)制度でのメジャー移籍を模索した。アスレチックスが独占交渉権を得たが交渉過程で決裂した。今年にかけて交渉代理人を米国人ポール・コブ氏に変更。権利行使時によどみなく交渉が進むよう、自身の環境を整えている。岩隈自身は昨年の移籍交渉に臨む際、唯一の希望として、長年継続している社会貢献活動が維持できることを挙げている。