逆転CSへの秘策は「剛腕復活」だ。広島は今日13日から本拠地マツダスタジアムで首位ヤクルトを迎え撃つ。3位巨人と4・5ゲーム差に開き、巻き返し策として浮上したのが、右手骨折のため2軍調整中の大竹寛投手(28)の1軍復帰プランだ。前日11日のウエスタン阪神戦で5回1失点と上り調子。早ければ9連戦中の23日横浜戦(横浜)にも復帰する可能性が出てきた。

 ラストスパートの態勢に入る野村カープに心強い援軍が加勢する。残り32試合。逆転でのクライマックスシリーズ(CS)圏内に入るためのウルトラプランは通算52勝右腕の大竹復帰だ。大野投手チーフコーチも、かつての大黒柱の名前を自ら口にした。

 「遠征で大きく負け越した。地元で何とか巻き返したい。うちのチーム状態から言えば、いまを頑張らないといけない。どういう形がスクランブル態勢になるのか。先発を中継ぎに回す考えもあるけど下(2軍)から上げられる投手がいるのか。大竹あたりが、だいぶ投げてきているけどね」

 大竹は5月28日の日本ハム戦(札幌ドーム)で打球が右手を直撃し、小指を粉砕骨折して戦線離脱。約3カ月のリハビリをへて9月4日のウエスタン・ソフトバンク戦(由宇)で実戦復帰した。申し分のない実績を誇り、本来の球威、勝負勘を取り戻せば、大きな戦力になるのは間違いない。

 復帰2戦目だった前日11日のウエスタン阪神戦(佐藤薬品スタジアム)は5回1失点だったが、8四死球を与えるなど制球面で不安を残した。しかし、105球を投げられたのは大きな収穫だ。大竹も実戦復帰前から「(9月中の1軍復帰について)そこには間に合わせたいし、多少、無理してでも作っています」と気合十分だった。週末の17日阪神戦から命運を分かつ9連戦が始まる。大野コーチは「故障者は1軍で投げるまで、だいたい3試合くらい」と話す。あと1度、2軍での調整登板をへて、順調なら23日横浜戦あたりでの先発復帰が有力だ。

 11日の巨人戦(東京ドーム)は必勝リレーの今村、サファテが打たれ、痛恨の逆転負け。3位巨人に4・5ゲーム差と大きく引き離された。激戦が続き、疲労も蓄積する時期だ。大野コーチは大竹のセットアッパー案も温める。いずれにせよ、剛腕が戦列に戻れば、投手起用のバリエーションは限りなく豊富になる。【酒井俊作】