<日本ハム2-6西武>◇9日◇札幌ドーム

 日本ハムは勝利の方程式が崩れて、西武に逆転負けを喫した。1-1で迎えた8回1死一、二塁のピンチでリリーフした増井浩俊投手(27)が3連打を浴びるなど4点を奪われ、9月13~15日ロッテ戦(東京ドーム)以来の3連勝を逃した。2位を争うオリックスも敗れたため、3位と4ゲーム差は変わらなかったが、クライマックスシリーズ(CS)進出決定は今日10日以降にお預けとなった。

 自慢の剛速球がはじき返された。右のセットアッパー増井が真っ向勝負を選んで玉砕した。「今日は難しかったです」という8回1死一、二塁からの救援。4番中村に2球目のフォーク以外は直球。全て150キロ超えも、6球目を中堅フェンスまで運ばれた。「フォークが、いけなかった。弱気になってしまった」。中村に4回に打たれた本塁打は抜けたフォーク。それが頭に焼き付いていたバッテリーの単調な配球が勝負を分けた。

 今季54試合目の登板で、1死も奪えなかったのは初めてだった。9月以降は2敗を喫するなど、調子も下降気味に見られるが、この日の失投だけで信頼は揺らがない。先発から配置転換され、期待以上の活躍で勝利の方程式の一角を奪った。ここまでわずか9失点と安定し、この1年の飛躍は誰もが認めている。

 内助の功もあった。昨オフに佳奈夫人と結婚。自宅の本棚には、料理に関する本が増えた。増井を食事でサポートしようと、独学でどんどん知識を増やしているという。「寝る前に、おしるこを食べた時もありました。寝る前に食べると、疲労回復にいいらしくって。あと消化もいいらしいです」と苦笑い。そのおかげもあり、酷使している体も「疲れはないし、心も安定している」と、充実したシーズンを送れている。

 梨田監督も「イニングの途中で、行かせたくはなかった」と、増井を責めることはなかった。2位を争うオリックスも敗れ、3位とのゲーム差は4のまま。CS進出決定はお預けになったが、焦る必要はない。失敗を取り返せる試合は、すぐにやってくる。増井は「切り替えていくしかないですね」と、引きずることなく、次の試合を見据えた。このままシーズンを終わるつもりはない。【木下大輔】