<西武11-3ロッテ>◇12日◇西武ドーム

 西武一筋17年目のベテランにうれしいご褒美だ。西口文也投手(39)がロッテ相手に6回7安打3失点の粘投で、6年ぶり10度目となる2ケタ勝利を達成した。チームでも10勝一番乗り。2ケタ勝利投手不在のままシーズンを終えれば球団史上初の屈辱だったが、今季復活を果たした右腕が危機を救った。日本ハムと引き分けた3位オリックスとは1ゲーム差。逆転クライマックスシリーズ(CS)進出へ、西口もチームもあきらめない。

 名実ともに、西口が復活した。6年ぶりの2ケタ勝利。いつもひょうひょうとしている右腕も「本当に久しぶりすぎて…。今年はいい感じで投げられていたから、本当にうれしい」とさすがに感慨深げだった。1回は井口に被弾し、2回は2死無走者から失点。それでも、打線の援護に恵まれ、イニング間のキャッチボール中には渡辺監督から声をかけられるひと幕もあった。「監督にも活を入れられたしね」と発奮材料にして、3回以降修正した。

 渡辺監督からは「今年はポイントでいいピッチングをしてくれる。復活したという感じだね」と称賛された。西口自身は、その要因をシンプルにとらえている。「真っすぐのキレがいい。それが一番じゃないですか。だから他のボールも生きる」。昨年からウエートトレーニングを取り入れたが、体つき自体はそれほど変化していないと証言する関係者もいる。しかし、今自信満々に直球を投げ込む西口がいることは確かだ。

 9月26日、39歳になった。家族ぐるみで仲がいいタレントのウエンツ瑛士が誕生日会を開き、ディズニーランドの年間パスポートをプレゼントしてくれた。そのウエンツがこんなことを言っていた。「今年調子がいいのは『筋トレ』のおかげですね。プロテインを初めて使ったって言ってましたよ。そのプロテイン、今はぼくが使って鍛えてます。今年の西口さんのボールみたいに、僕のトークもキレキレになんないかなあ」。芸能人もうらやむ?

 復活を果たしたベテランは「あと4試合、みんなで燃え尽きます!」と言い切った。逆転CSは手の届くところにある。【亀山泰宏】

 ▼西武西口が05年(17勝)以来6年ぶり10度目の2ケタ勝利。西武の投手で2ケタ勝利を10度記録したのは前身の西鉄時代を含め稲尾和久(10度)東尾修(14度)に次いで3人目になる。西口は立正大から入団。大学出身投手の2ケタ勝利10度以上は藤本英雄(明大出。巨人など=10度)村山実(関大出。阪神=11度)に次いで史上3人目。