阪神の新監督に就任する和田豊打撃コーチ(49)が26日、鬼キャンプで若手を鍛える考えを示した。監督初指導は11月3日からの高知・安芸キャンプに決定。「野球漬けのキャンプになる」と予告。技術に加え選球眼向上のためデータ活用の猛勉強も求める。勝負強い打者をつくるために、朝も晩もみっちりとしぼる。

 練習中も、練習後も、休んでいる暇はない。和田コーチが、若手の体と頭を徹底的に鍛え上げる。明日28日に予定される監督就任後、初めて練習を指揮する秋季キャンプに向けて、厳しい姿勢を打ち出した。

 和田コーチ

 野球漬けのキャンプでいく。若手は、全部弱いというくらいでやってもらわないといけない。数字にとらわれないので、伸びる時期でもある。とことんやる。

 ロング&ハードキャンプだ。野球の技術を鍛えるこはもちろんだが、それだけではない。目玉はデータ活用の方法論だ。和田コーチは、打撃部門の長として真弓阪神を支えてきた。統一球が導入された今季、チーム打率2割5分5厘はリーグトップだったが、ここ一番での決定打が出なかった。その反省に立って対策を練る。

 和田コーチ

 今年、痛感したのは選球眼の大切さ。この1球を見逃してくれれば、次は甘いボールがくるのに、とか。そのあたりが勝負強さにもつながってくる。例えばブラゼルは(ボールが飛んだ)昨年はボール球でも振り切れば(本塁打)47発打てた。でも今年は統一球でそうはいかなかった。どんなタイプの打者でも選球眼と配球を読めるということは大事になる。

 配球を読むためには、相手投手のデータを頭にたたき込むことが近道だ。安芸で鍛える選手については、キャンプ中をメドに今季の個人データをそろえる方針。課題をしっかりと認識させて、練習に取り入れる。

 和田コーチ

 目に見える数字で出したり、ビデオを見せれば説得力がある。スコアラーの情報を最大限に生かしていきたい。(選手ごとに)メニューは変わってくると思う。

 ただやみくもに体を鍛えればいいというものではない。理論派らしく、選手の頭もみっちりと使わせる。

 和田コーチ

 データはプラスアルファでいいが、興味を持つ、持たないで見えてくるものが違う。もちろんデータを捨てる作業も必要。これまでも言ってきたが、すぐにはできない。言い続けないといけない。

 “新監督”は、朝から晩まで、体も頭もヘトヘトになるまで鍛え上げる覚悟。チームの底上げに向けて、厳しさを前面に押し出す。【益田一弘】