日本ハムの新監督就任が決まっている栗山英樹氏(50)が8日、就任要請受諾後初めて、北海道入りした。いよいよ栗山新政権のスタートとなるが、同氏はまず、所属するすべての選手と“個人面談”を行い、野球に対する思考や取り組み方を聞く方針を明かした。各選手の情報を収集し、1人1人の特徴をつかんで今後の指導や起用に役立てていくつもりだ。今日9日には、札幌市内で就任会見が行われる。

 気温5度。新たな本拠地に降り立った栗山新監督は、いつもの柔和な表情から一変、背筋を正した。「本当に身が引き締まる思い。がんばらなければいけない。ここからは本当に、戦わなければいけない」。現役引退とともに封印していた勝負師としての血が、体の底からはい上がってきたかのようだった。

 注目の初仕事となるのは、現在千葉・鎌ケ谷で行われている秋季練習の視察、指導だ。練習休日の11日には全選手に対して所信表明をし、翌12日からは実際にグラウンドに立つ予定。そこで行うつもりなのが、各選手との“個人面談”だ。

 取材活動などで面識がある選手もいるが、1、2軍全選手の特徴を把握しているわけではない。「すべての選手と話をしたい。徹底的に話を聞く。どう思って(野球を)やっているのか聞きたい」。野球に対する思考や姿勢を直に聞くことで、選手個々の内面までを理解し、今後の指導や起用に役立てる。

 テスト入団でプロ野球界に入った自らの経験に基づいている。「すべての選手にチャンスがある」と話すように、チームには実力を発揮しきれていない若手選手が数多くいると信じている。選手と同じ目線に立って戦っていくために、まずはコミュニケーションを密にとることに全力を注ぐ。

 「言いづらいこともあるかもしれないけど、できるだけ多く聞きたい。僕がお父さんになるのか、お兄さんになるのかはよくわからないけど…そういう感じ」。スポーツキャスター時代と変わらず、距離は近く。監督と選手というよりは、家族のような関係で向き合っていくつもりでいる。

 今日9日には札幌市内で就任会見が行われる。栗山新監督の挑戦が、いよいよ幕を開ける。【本間翼】