<日本シリーズ:中日2-4ソフトバンク>◇第3戦◇15日◇ナゴヤドーム

 鷹打線が目覚めた。本拠地で連敗スタートし、落とせない敵地初戦。4回に多村仁志外野手(34)が、ソフトバンク打線初アーチとなる2ランを放ち“1得点の壁”を破った。8番細川にもシリーズ初アーチが出るなど12安打で4得点。中日落合監督にいいようにやられていたシリーズの流れを食い止めた。

 眠っていたスラッガー多村が逆襲弾をぶちかました。1点リードの4回無死一塁。中日ネルソンの直球を豪快にすくい上げた。左翼席への2ラン。打った瞬間にアーチを確信し、悠然とベースを回った。ホームでは代打要員となっているチームメートのオーティズお得意の、両手人さし指を上に向けるポーズをしてみせた。

 多村

 配球を考え過ぎるところがあった。甘い球を積極的にいこうと思った。今日の勝利は明日につながりますね。

 打ちたかった。福岡での2試合、ことごとくチャンスに回ってきた。7打席のうち6打席で走者がいた。だが、その6打数で1安打。迷いの見える打席が続いた。転機は前日の練習。秋山監督に声をかけられた。指揮官は12日開幕戦、7回無死一塁の場面で多村にフリーで打たせた。だが、右打ちを意識した中途半端なスイングで結果は三振だった。「サインが出ないときはヒットとか、本塁打を打ってほしいんだよ。多村はいろいろ考えちゃうからな」(秋山監督)。そんな思いに豪快スイングで応えてみせた。

 多村

 監督に「まじめすぎるゾ。もっと楽しめよ」と言われた。多くの先輩からアドバイスをもらった。

 7番の打順でつながりを意識しすぎたのは、過去の話。痛みをこらえ、甘い球を振りに出た。10月上旬、左足親指を剥離骨折した。自打球の痛みがひどく、病院で検査すると折れていた。だが、戦列に立ち続けた。6月に死球を受けた左手握力は以前70キロあった。40キロほどまで戻ったが、完全には治っていない。それでも、打てたのはナインの助けもある。4回は走力のある長谷川が出塁し、中日バッテリーにプレッシャーをかけ、直球系を投げさせた。3回までに打線はネルソンに55球を投げさせ、甘い球が早くも見えていた。チーム一丸の反撃打だ。

 多村は3安打で猛打賞。主将小久保を4番に据えた新打線は12安打と機能した。盗塁も3つで、中日捕手の谷繁に重圧をかけた。

 秋山監督

 先制し、中押しが多村の本塁打でできた。ウチらしい野球ができた。短期決戦は本塁打が大きい。明日も頑張ります。

 流れは敵地ナゴヤドームで変わった。大逆転日本一へ、ソフトバンクが、1歩を踏み出した。【松井周治】