<日本シリーズ:中日1-2ソフトバンク>◇第4戦◇16日◇ナゴヤドーム
主将が全身で勝利をもぎとった。ソフトバンク小久保裕紀内野手(40)が、まずはバットで流れを呼びこんだ。1回1死一、三塁。40歳のベテランは落ち着いていた。外角直球を強振せず、おっつけた。中間守備の一、二塁間を抜く先制適時打に「いいところに飛んだ」としてやったりだ。
打つだけではない。走塁でもビッグプレーだ。次打者松田は二ゴロ。一塁走者の小久保は走るラインを一、二塁間を結ぶ直線より外野寄りにとった。併殺プレーでショート荒木の動きを読んでのもの。二塁ベース付近で、荒木の足元に併殺崩しのスライディング。荒木の一塁送球はラインがそれ、ノーバウンドながら一塁ブランコが後逸(失策は荒木)。貴重な2点目にも貢献した。
小久保
内野ゴロがきたら、鳥越コーチに併殺崩しに行くと言っていた。全然ベースと違ったけれど。こういうゲームだから。
最後に日本一で笑えば、主将の苦しかったシーズンも報われる。持病の首痛に悩まされ続けた。痛いときは寝返りもできず、食事の途中にも激痛が走った。弱音は吐かなかった。6月下旬、自らに誓った。「今年は絶対にキツイ、シンドイとは言わない」。今季初の仙台遠征で胸に刻んだことだった。移動バスの窓越しに見える光景に、東日本大震災の爪痕の大きさが映し出されていた。一生忘れることができない惨状と誓いは日記に記してある。首が痛くても、自分には、野球をやれる幸せがあった。
小久保
まだ五分。明日は打線で勝つ。
CSでも、この日本シリーズでも円陣でナインの士気を鼓舞する言葉は同じ。「気合だっ!」。会心アーチでなくてもいい。泥臭いプレーでもいい。「日本一」の3文字をつかむため、全力プレーを貫く。【松井周治】



