8年ぶり日本一を果たしたソフトバンクが、巨人黄金期を超える「V10構想」を推し進める方針が6日、分かった。すでに大リーグ通算84本塁打のペーニャ獲得を決めているが、さらなる大型補強プランを水面下で継続。メジャーで通算555本塁打を放ち、現役復帰の意向を持つ大物、マニー・ラミレス外野手(39=前レイズ)を再調査するほどの本気度だ。

 世界経済のキーパーソンでもある孫正義オーナー(54)が率いるソフトバンクらしく、度肝を抜く強化構想を抱いている。球団幹部が明言した。

 「我々の目標はV10です。10年連続日本一。巨人のV9を超えて、伝説のチームとなる。本気です」

 王と長嶋の「ON」を中心につくったV9伝説を上回る新たな歴史に挑む-。チームは今季11球団に勝ち越す史上初の完全優勝を果たし、8年ぶりに日本一を奪回した。だが、ここで満足どころか、さらに壮大なプラン実現へ、孫オーナーや球団幹部との間で方針が固められているという。

 けた違いの本気度だ。「調査は継続します」と球団首脳が語ったスラッガーは、メジャー通算555発の超大物、マニー・ラミレス外野手。98年から9シーズンにわたって100打点以上マーク。レッドソックス時代の04年には43本でア・リーグ本塁打王。11年春に現役引退を表明したが、今オフ現役復帰申請を行った。ホークスでは引退期間中から動向をチェック。ユニークな言動を差し引いても、勝負強い打撃は魅力的に映っており、ファンを呼べることも調査を継続する理由となったようだ。

 すでに獲得に乗り出すケースでの条件面も試算し、4億円前後と判断している模様。09年時に年俸約24億円だったが、割安になっていることも魅力だ。

 ラミレス調査の要因の1つには、大幅な打撃力アップを目指す球団の方向性がある。和田がメジャー挑戦で抜け、ホールトン、杉内も退団濃厚と先発陣が苦しくなる。昨オフに獲得した大砲カブレラは直球の振り遅れが目立ち、新戦力ペーニャも未知数な部分があり、現時点で小久保40歳、松中37歳と長距離打者の高齢化もある。ラミレスも39歳だが、DH候補として来年7月の補強期間まで調査対象として外さない方針だ。

 「補強には手を抜かない」と球団幹部は力を込める。V10という壮大な目標へ、ソフトバンクのチーム強化戦略は規格外だ。

 ◆連覇メモ

 過去最高は巨人の9連覇(65~73年)。これに次ぐのは巨人が1リーグ時代に達成したV6(38年秋、39~43年=1リーグ時代)で、水原監督時代の巨人V5(55~59年)と森監督率いた西武のV5(90~94年)が続く。最近では07~09年の巨人3連覇があるだけ。

 ◆マニー・ラミレス

 1972年5月30日、ドミニカ共和国生まれ。史上24人目のメジャー500本塁打を達成した屈指の強打者。91年ドラフト1巡目でインディアンス入団。93年メジャー昇格。99年打点王。01年からレッドソックスで、04年本塁打王。ワールドシリーズでもMVPを獲得。メジャー通算2302試合、2574安打、555本塁打、1831打点の実績。今春に現役引退を表明したが、このオフに復帰申請した。183センチ、91キロ。右投げ右打ち。

 ◆マニー・ラミレス獲得には

 09年と11年の薬物検査で陽性反応が認められており、米大リーグ機構から100試合の出場停止処分を受けていたが、現役復帰申請を受け、50試合に軽減された。米球団と契約し、試合出場が可能となった時点で適用される。日本球団が獲得した場合は、その影響を受けずに、出場が認められる。懸念は係争案件を抱えているケース。入国が認められず、獲得できない場合もある。また、チーム内では多くの選手のポジションがかぶりすぎるため、獲得に消極的な意見もある。