「鉄人流」で逆襲じゃ!

 広島篠田純平投手(26)が今オフから広島市内のトレーニングジム「アスリート」に通い、肉体改造に励む。故障しない体作りを目指すが、同ジムでは阪神金本知憲外野手(43)も練習しており、格好の手本になる。自主トレに取り組む姿勢を見ならい、来季2桁勝利への発奮材料にする。

 プロ4年目を終えた今オフは「特別な時間」を過ごす。100キロ超のスクワットで汗を流す篠田の視線の先には阪神の大ベテランがいる。会話を交わすことはない。それでも、同じプロ野球選手として感化される部分は多かった。

 「(金本さんとは)あいさつをさせていただくくらいです。43歳になっても、あれだけ体を鍛えている。僕らはやることが多すぎます。あれだけの選手があれだけやって、僕らは倍以上やらないといけない」

 一流の練習姿勢に触れ、さらに上昇志向は強くなった。今季は開幕ローテーションに入りながら春先の不調で2軍落ちを味わい、9月には背筋痛で離脱。5勝7敗、防御率4・13と不本意な成績に終わった。巻き返すために目の色を変える。同ジムでトレーニングを行う最大の目的は故障しない肉体に仕上げることだ。

 「『ケガしないな、コイツは!』と思われる体にしたい。土台を作るためのウエートトレーニングです。気持ち悪くなるくらいの筋トレをやったことがなかった。1人だと避けてしまうくらいキツい。やるときは集中してできますから」

 来季の戦力構想のなかでも、篠田は重要な立場だ。先発ローテーションを担う左腕として斉藤とともに期待されている。昨年12月の結婚式では「来年こそ2桁勝利を」と公言しながら果たせなかった悔しさもある。同ジムには週に4、5回、通い、徹底的に追い込む。

 「常に向上心を持ってやらないといけない。2桁勝利はシーズン(ずっと)いないとできない。仮にシーズンの半分で2桁勝利を挙げても意味はない。1年間、1軍にいて違ってくるものですから」

 タフネスな肉体に仕上げて1年間、1軍でフル稼働するのが目標だ。今月18日からは公式ブログも始めファンと交流を図る。カープにとって必要不可欠な存在になるために、真剣勝負は始まっている。【酒井俊作】

 ◆アスリート

 広島市内のトレーニングジム。阪神金本、新井貴が広島時代から足しげく通って屈強な肉体に鍛え上げ、一流への土台を築いた。広島では東出や広瀬ら多くの選手が利用し、日本ハム中田も汗を流す。10年1月には当時日本ハムのダルビッシュが金本の練習光景を見学した。トレーニングエリアのほか、ティー打撃を行うスペースもある。平岡洋二代表。