ソフトバンク小久保裕紀内野手(40)が記録ラッシュをかけて渡米した。4日、米国アリゾナ州での自主トレに向け福岡空港から出発。オフの手術で首痛から解放され「食事中の姿勢も真っすぐになり、上を向いて眠れるようになった」と笑顔での旅立ち。不安材料が消えたベテランは今季の公約を連発した。

 まずは残り38本の2000安打だ。「1試合1本を最低目標に5月中には。シーズン中盤に個人的なことで騒がれないようにしたい」。38試合目の5月13日ロッテ戦を目安とした。続けて「全部、守った上で出るつもり」と一塁での全試合出場を掲げた。3年連続のゴールデングラブ賞にも「普通に試合に出ればそこはとりにいきます」。41歳での受賞となればヤクルト宮本の持つ40歳11カ月での最年長記録を更新する。その根底を支える目標が、無事故での完走。昨年は2度の骨折で離脱しただけに「健康第一で骨折しないシーズンにしたい」と願った。

 ハードな自主トレを支える心のビタミン剤も持参した。「読破したい」と司馬遼太郎の「坂の上の雲」を持ち込む。最近は水滸伝や楊令伝(ともに北方謙三)など長編歴史小説を手にしてきた球界屈指の読書家の新境地。不惑の男は新たに挑戦する気持ちを忘れない。「だれかと酒を飲んでいた」という初夢は連続日本一の予知夢か。12年シーズンに向けて主将が始動する。【押谷謙爾】

 ◆坂の上の雲

 日露戦争終結までの道のりを、秋山好古、真之兄弟を軸に描いた近代長編小説。