ソフトバンク小久保裕紀内野手(40)が、引退をかけたシーズンに7年ぶり30発で復活する。米アリゾナ州フェニックスでプロ19年目の自主トレを公開。「30本がホームランバッターのラインやろうと思う。どれだけ飛距離が戻るか楽しみ。1年半以上痛みがある中でやってきたから」と力を込めた。

 オフに神経を圧迫していた頸椎(けいつい)の骨を削る手術を受け、首痛は劇的に解消。ただし、米国での筋力測定では左胸が全盛期の40%、左上腕三頭筋は同3分の1以下に低下したことが判明。昨季はフリー打撃で「会心の当たりでも飛ばなかった」という。統一球だけでなく、首痛に起因した左上半身の筋力ダウンも10本という低調の原因だった。

 不安の消えた今は左半身中心の強化メニューで左右バランスを補正し、体重は4キロ増の91キロ。過去に王と門田、ローズ、山崎の4人が達成した40代で30発という領域を意識できる体に近づいてきた。「本塁打が長所でやってきた。安打狙いならこんな練習しない。しっかり、そこにこだわるための体に戻す練習を」

 近年は引退の2文字がちらつく。この日も「(来季)現役をするか分からんけど、日々目いっぱいやる」と覚悟じみていた。事実、8年に及んだアリゾナ自主トレは今回を最後に荷物を引き揚げる。03年開幕前に右膝靱帯(じんたい)を断裂し、同年末までリハビリで過ごした思い出の場所。「あれがなかったら40歳までやっていない」。そんな原点と決別。集大成の年にするという覚悟がにじんだ。