楽天の守護神争いに、かつてのセーブ王が参戦する。6日、星野仙一監督(65)が、本命に昨季17セーブのダレル・ラズナー投手(31)を挙げた。抑え固定は球団創設以来の課題。佐藤投手コーチは、ラズナーに加え、実績のある青山浩二投手(28)、新加入の加藤大輔投手(31)も候補であることを明かした。オリックスを戦力外となり、再起のチャンスを得た男が、競争に割って入る。

 抑えの座をかけ、火花散るレースが始まった。星野監督が「本人も抑えのつもりで調整しているだろう」と言うように、本命はラズナーだ。しかし佐藤投手コーチは「ラズナー、青山、加藤の3人を監督に伝えたよ。実戦で投げてみてだね」と明かした。対抗として、プロ6年間で先発を含めて229試合登板の実績がある青山。穴に浮上したのが、「松坂世代」の1人でもある加藤大だった。

 オリックス時代、セーブ王のタイトルを獲得したが、最近2年はフォームが固まらず、140キロ後半の力強い直球も影を潜めた。岸田、平野らリリーフ陣の台頭もあり、昨年はプロ初の1軍登板なし。戦力外となり、トライアウトを受けて楽天入りした。それでも新天地で「クイズ番組で言ったら敗者復活戦みたいなものです」と、前を向いた。キャンプ初日に、約150球投げ込み、猛アピール。「加藤がいいピッチングをしていたな」と星野監督の目に留まるほどの存在感を示した。

 本来の姿を取り戻しつつある。佐藤投手コーチから下半身だけでなく、手も使って体重移動することをアドバイスされ、力強い直球が戻ってきた。この日もブルペンで100球投げ、「よくなってきてると思います。周りからサビがとれてきたって言われますね」と、充実した表情を見せた。下半身にも力感が加わり「昔の自分にあてはまる、体の使い方がわかってきた」と手応えを感じている。

 抑え候補に挙がったことには「1軍で投げられるのであれば、いいところで投げたい気持ちはあります。あとは自分次第です」と、再挑戦に意欲を見せた。本命のラズナーは「去年の経験があるから、どこと言われても大丈夫」と余裕の表情。青山も「その(抑えの)気持ちは諦めてません」と、闘志を燃やす。11日から3日間、紅白戦が始まり、1軍投手全員が登板予定。開幕までの実戦で結果を残した者が、その座を勝ち取る。【斎藤庸裕】

 ◆昨季の楽天抑え投手

 通年で1人には固定できなかった。開幕当初はスパイアーが務めるも不安定で7月に2軍行き。代わりに先発だったラズナーを転向させた。シーズン終了まで務めチーム最多17セーブ。一方、抑え候補として獲得したメジャー通算86セーブの金炳賢は1軍未登板で退団。開幕直前に獲得した最速150キロ超右腕のサンチェスは15試合に投げたが、0セーブで退団した。