<オープン戦:西武3-6阪神>◇18日◇西武ドーム

 おかわり斬ったらラミも斬る。能見とともに開幕カード出陣が確実な阪神岩田稔投手(28)が、心強いリハーサルを終えた。大阪桐蔭で同期だった昨季キングの西武中村を、ともに得点圏に走者を置いて2打席牛耳った。4個並べたゼロは、これまで以上に中身が濃い。この調子で、DeNAの主砲ラミちゃんもきりきり舞いといくか。

 窮地に陥っても焦らない、慌てない。たとえ球界屈指の大砲が立ちはだかろうとも、顔色ひとつ変えない。先制点を許し、好投報われず負ける-。そんな岩田はもう、いなかった。

 岩田

 試合勘がなかったので確かめながら投げた。まだ追い込んでから甘いボールがある。僕の中ではそれが目立った。そこをちゃんと投げないと、シーズンでは打たれてしまう。

 反省の言葉さえも頼もしい。オープン戦2度目の登板で初先発。初回2死から3番中島と対し、右翼線にポトリと落ちる不運な三塁打を浴びる。2死三塁で大阪桐蔭時代の同期でもある4番中村。2ボール1ストライクから外角140キロ直球で二ゴロに仕留めた。

 3回は2死一、二塁で再び中村。今度は2ボール2ストライクから内角140キロ直球で詰まらせ、一邪飛に斬った。毎回走者を許しながら4回4安打0封。「おかわり君」に投じた計9球のうち、7球が自慢の「動く直球」だった。

 ムービングボールが持ち味だが、オフからキャンプにかけて「きれいな真っすぐ」を欲した。しかし、いつまで経っても投げられない。理由は明白だった。

 岩田は過去に痛めたことが原因で、左肘が真っすぐに伸びない。肘が曲がっているため、ボールをリリースする際、どうしても中指と人さし指を正面に向けて、2本で押し出すことができない。最後は中指で切る形になり、カットボールの回転がかかる。修正しようと人さし指に力を入れればツーシームに近くなる。

 今はもう、迷わない。今年もムービングボールを最大限に生かす。方向性が固まったことは、中村への投球が証明していた。

 岩田

 真っすぐもまだまだ。次はイニングを投げて、3人ピシャリというイニングを作っていきたい。

 25日マリナーズ戦で最後の調整登板。開幕カードDeNA3連戦に乗り込む見込みだ。「おかわり封じ」で、今季の課題でもある大砲斬りに目星をつけた。【佐井陽介】