<中日1-3ヤクルト>◇8日◇ナゴヤドーム

 初の連敗で首位を陥落した中日高木守道監督(70)が激怒した。勝敗のポイントとなった代走藤井淳志外野手(30)の走塁ミスに「恥ずかしい内容。高校生でもやらん」と厳罰の2軍降格を通告。またドラフト1位高橋周平内野手(18=東海大甲府)には、実戦経験を増やす意味で2軍行きを命じた。5連勝後の連敗でチームを引き締めるべく、強烈な守道スパイスの注入だ。

 会見場に現れた高木監督の顔は真っ赤だった。連敗、そして首位陥落。だが血圧を上げたのは、打たれた守護神岩瀬ではない。一番やってはいけないケアレスミス。70歳の将が就任後最大の怒りで声を震わせた。

 高木監督

 恥ずかしい内容だもん。見とったら分かるでしょ?

 あれは高校生でもやらんで。

 1点を先制された直後の6回だった。奮投した先発山本昌の代打ディアスがヒットで出塁。ここで満を持し、俊足藤井を代走に送った。ところが1番荒木の打席で、赤川のけん制に飛び出し憤死した。さあ、まず同点と盛り上がっていたベンチはどっちらけ。8回に荒木の適時打で追いついたが最後まで流れを呼べず、10回に岩瀬が沈んだ。

 井上打撃コーチも「今日最大のポイント。監督の指示を実行するのが選手。ヨッシャーという場面だったのに」とかばえなかった。怒りの指揮官は「僕のミスです」とうなだれる藤井に2軍降格を通告。就任後初めての厳罰人事となった。

 高木監督

 山本も走者は出しますよ。それでも0点に抑えている。点取ってやらんとかわいそうやん!

 プロなんだからなんでそうなったか、反省してうまくなっていかんとあかんわ。

 そして怒りは、ドラ1高橋周にも飛び火する形となった。10回の名古屋初打席、代打で凡退した黄金ルーキーにも2軍行きを通達したのだ。ただしこちらは厳罰でなく、開幕からわずか2打席の18歳に実戦の場を増やしたい考えから。「駆け引きとかいろんなことを見て経験して覚えさせたい」と英才教育で1軍に置いてきたが、ヤクルト3連戦で3得点と下降した打線事情も背景にある様子。高橋もサバサバ受け止めた。

 高橋周

 1軍はレベルが高かったし、いい勉強になった。感じたことをムダにしないように頑張ります。

 開幕5連勝後の連敗で即、守道流の強烈スパイスを注ぎ込んだ。2軍からは英智と谷を招集。初の本格テコ入れを完了すると今度は不敵な笑みをたたえた。

 高木監督

 開幕8試合で5勝もしたんだから上出来やないの?

 巨人より勝っとんだから。でも次はその巨人とやな。負けれんな。

 明日10日から東京で巨人3連戦。鬼の荒療治でチームを引き締め、首位を奪い返しに行く。【松井清員】