<中日1-0阪神>◇1日◇ナゴヤドーム

 守道竜が執念の4連勝だ。山井大介投手(33)と久保康友投手(31)の0-0の投手戦。9年目堂上剛裕外野手(26)が2試合連続の決勝打だ。8回1死一、三塁の代打で投手へボテボテの当たりを放ち、一塁へヘッドスライディング。併殺崩れの間に1点をもぎ取った。今季代打成績は6打数3安打2打点。竜の必殺仕事人の大仕事で、首位の座を死守した。

 堂上剛は夢中で頭から飛び込んだ。ほしかったセーフのコールを聞いて起き上がると、一塁ブラゼルに苦笑いで言われた。「滑らなくても間に合ってるよ」。ついに虎の子の1点をもぎ取った。ユニホームは勲章の赤土がべっとり。そしてヒーローはにっこりだ。2戦連続1-0のV打点。この日は泥くさく、チームに3度目の4連勝をもたらした。

 堂上剛

 山井さんの気迫が伝わってくるピッチングだったので、何とかしたかった。(ヘッドは)自然に出ました。気持ちですね。

 山井と久保の投手戦で0-0が続いた8回1死一、三塁のチャンス。代打で久保の内角速球に立ち向かったが、ドン詰まりの投ゴロとなった。「打った瞬間はやられたと…」。だが久保が本塁ではなく二塁送球してくれたおかげで、結果は最高の併殺崩れ。最後は勝負への執念がものをいった。

 堂上剛

 (しびれる展開は)代打でいく選手にとって幸せな打席ですね。(直前で弟の堂上直が)打って一、三塁になって楽になった。(兄弟が)いい場面でつながって貢献できましたね。

 2試合連続、兄弟コラボで勝利を運んだ。前日は7回、弟の代打で山本昌の212勝目をアシストする決勝打。そしてこの日は谷繁二塁打の後、弟が左前打でつなぎ一、三塁で回してくれた。高木監督は「直倫もよう打ったし、あれであの1点が取れた。堂上家にまだ運がある」と絶賛。兄弟ならではの絶妙の連携プレーだった。

 もう2度と2軍には戻りたくない。その思いが集中力を生んでいる。開幕1軍を果たしたが4月初旬、1打席三振だけで2軍降格を命じられた。「兄弟レギュラー」を掲げた今季目標からはほど遠い現実。だが腐らず懸命にバットを振り続けた。昨年12月に結婚。支える家族ができ、はい上がるしかなかった。代打成績は6打数3安打2打点。仕事人になって戻ってきた。

 堂上剛

 投手との間合いも良くなっているし、状態はいいです。ファームで試したいこともできた。また1軍に呼んでもらった以上、これからも貢献したい。

 当面は代打稼業が続く。だが目標はやはりレギュラーだ。そのためにまず結果を出し続ける。9年目の大輪を咲かす。【松井清員】