<阪神0-4巨人>◇4日◇甲子園

 あわやノーヒットノーランだった。阪神和田豊監督(49)の勝負手は空回りした。新井を外し4番に金本知憲外野手(44)を指名。貧打に苦しむ打線にカンフル剤を打ったが、巨人杉内の前に1安打完封負けした。今季最多4万6838人で埋まった甲子園で、どん底の2年ぶり5連敗。指揮官は「申し訳ない」と謝罪した。借金1。虎よ、踏ん張れ!

 キバをむけ!

 

 今季最多4万6838人の観衆を前に、見せ場さえ作られなかった。たった1安打。打者29人の寂しい攻撃だった。今季6度目、2戦連続の完封負け。勝負の9連戦を、1勝もできないまま終わる可能性が出てきた。指揮官は謝罪の言葉をもらした。

 和田監督

 ゴールデンウイークで、このゲームを楽しみにしてくれたファンの皆さんに、申し訳ない試合だった。チームも苦しい時だが、ここをしっかりと乗り越えて、必ず今日来てくれたファン、テレビを見てくれた人に喜んでもらえるような状態にもっていくのが、我々の仕事だ。

 前日の敵地・中日戦に完敗し「甲子園では絶対にこんな試合はできない」と逆襲を誓った。打開策として、今季30試合目で4番の変更という大ナタをふるった。調子の上がってこない新井を6番に下げ、金本を打線の中心に置いた。10年6月13日以来で、セ最年長の先発4番となった。「カネは経験がある。(本人が)思っていたよりも早かったかもしれないが、いつでも打てるように練習してきた。新井も(打順が)下がったが、ずっとそこを打つわけじゃない。1日も早く戻れるようにやってほしい」と和田監督は心中を語った。

 大ベテランのバットに難局打開を託したが、攻守に精彩を欠いた。金本は左腕杉内に3打席ノーヒットで、2回には8番実松の左飛を落球。長野に2ランを打たれる最悪の展開を招いた。試合後はベンチ裏で、恒例の素振りは約1時間続いた。和田監督は「今日は機能しなかったが、必ず上向くと信じたい。多少のテコ入れはあるかもしれないが…」と話した。当面はマイナーチェンジを図りながら、4番起用の「金本打線」は継続する方向。信じて好転を待つ構えだ。

 9連戦前には貯金「4」だったが、引き分けを挟んでの5連敗で今季初の借金生活に突入。

 和田監督

 いろんなものを抱えすぎている。集中していないことはない。一生懸命やっているのだが、視野が狭くなりすぎている。まずは自分の力を発揮することを考えてほしい。1人だけで解決できるわけじゃない。チーム全体で考えないといけない。

 トンネルの先に出口はあるのか。世界一のファンがいる甲子園で、浮上のきっかけをつかみたい。【田口真一郎】

 ▼金本の4番での先発出場は、10年6月13日ロッテ戦(千葉マリン)以来。「4番左翼」では、10年4月17日横浜戦(横浜)以来。なお44歳1カ月でのスタメン4番は、中日山崎武司が今季4月24日ヤクルト戦で記録した43歳5カ月を抜きセ・リーグ最年長。

 ▼阪神は今季6度目の完封負け。開幕30試合以内のシャットアウト負け6度は、2リーグ分立後では74年以来38年ぶり4度目。阪神は今季このほか、4月30日巨人戦で0-0の引き分け。30試合消化時点で7度の無得点試合は、63年の8度に次ぐワースト2位。また阪神は2分けを挟んで5連敗。10年8月5日巨人戦から同10日広島戦に5連敗して以来2年ぶり。なお阪神の1安打完封負けは、08年5月1日ヤクルト戦で館山-押本-林昌勇に抑えられて以来。巨人戦では、98年5月21日に槙原の完投を許して以来、14年ぶり。