<阪神1-5DeNA>◇27日◇甲子園

 メジャー球団の「球児どり」が本格化した。マリナーズのスカウト陣が視察。海外FA権の取得条件を満たしたターゲット、阪神藤川球児投手(32)の登板はなかったが、8月中に権利取得見込みの鳥谷敬内野手(31)とあわせ、マークする姿勢を示した。この日、ダイヤモンドバックスも8月に阪神戦を観戦することを発表。守護神の周囲で新たな動きが出てきた。

 メジャーの「球児チェック」が本格化した。敗色濃厚の甲子園。試合終盤に入ってもバックネット裏で目を光らせていたのはマリナーズのスカウト陣だ。ターゲットは今季、海外FA権を取得した藤川&鳥谷だった。普段から日本球界をリサーチする国際スカウト部の山本泰・日本担当スカウトのほか、今回はパット・ケリー環太平洋担当部長、末吉英則マイナーリーグ兼国際管理部長も足を運ぶ熱の入れようだった。

 特に藤川の動向には細かく目を配る。この日は阪神の敗戦で登板機会がなかったが、今日28日も訪れる予定。山本スカウトは「(海外FAの)対象選手なので、しっかり見ておかないといけない。米国は3日で2回、投げるのは当たり前。連投でどういう状態になるのか。長期ロード(8月の連戦)で連投して、どのくらい投げられるのかも見ないといけない」と話した。

 大リーグは日本以上の長距離移動を強いられ、肉体的にも精神的にもタフさが求められる。蒸し暑い日本のプレー環境、そして、連戦が続く今後の日程は、そうした適性を図る上で絶好の機会になる。

 マリナーズだけではない。この日、ダイヤモンドバックスもデリック・ホール最高経営責任者(CEO)、ケビン・タワーズGMら、球団首脳が8月2日の阪神-ヤクルト戦(甲子園)を観戦すると発表した。他球団の観戦予定もあるが、今オフFA市場で話題になる藤川の投球を直接視察できれば、大きな判断材料になる。今後はシーズン佳境にかけて、メジャー各球団の来訪が相次ぐ流れだ。

 藤川は07年オフに初めてメジャー挑戦の意思を球団に打ち明けた。今年4月には念願の海外FA権を取得したが、いまは思いを封印する。投手キャプテンとして、必死にシーズンを戦う立場。この日はリードされた9回裏に一塁側ベンチで声援した。「登板がないからね」と話し、ロッカーに消える直前には3度「やるしかない」と語気を強めた。あくまで戦いに集中するスタンスだが、にわかに守護神の周囲が騒がしくなってきた。【酒井俊作】