<中日1-0ヤクルト>◇29日◇ナゴヤドーム

 もっと頭で考えろ!

 中日高木守道監督(71)がショック療法で若手に奮起を促し、ヤクルト戦の連敗を4で止めた。若手野手9人の試合前フリー打撃を召しあげ。ロッカー室に集め“愛の説教部屋”を開いた。前日28日は「内容がない。なんのために打撃練習してんの」と若手野手にぶち切れた指揮官だが、森野の決勝弾による1点勝ちにも、指揮官はご満悦だった。

 試合前の打撃ケージに若手の姿はなかった。守備練習を終えると、堂上兄弟、平田ら9人がいっせいにベンチ裏に下がった。向かった先はロッカールーム。そこにはモニターが用意され、宇野、井上両打撃コーチと高木監督が待っていた。

 手を打たずにはいられなかった。前日28日ヤクルト戦ではチャンスで野手を次々と送り込んだが、ことごとく凡退。「うちの若手は寂しいよ。1人くらいおってもいいのに総崩れやない」と憤った。指揮官は帰り際、コーチ陣に翌日の打撃練習抜きとミーティング開催を告げていた。

 “説教部屋”の詳しい内容は明かさなかったが、監督の意をくんだ打撃コーチが進行役となった。前日は3-3の7回1死満塁の場面で、代打堂上剛が初球の変化球を打って浅い中飛。「初球から2ストライクの打撃やん。なんでもっとどっしり構えんのや」と話していただけに、具体例をモニターに映して考え方をレクチャーした。監督は40分間、ミーティングをじっと見つめた。

 高木監督

 (練習で)打たんかったのが打ったでしょ。1回くらい打たんでも頭使えば打てる。頭と言えば聞こえ悪いかもしれんけど、野球は駆け引き。いつもやられるパターンがあるというのはプロじゃない。

 先発の堂上兄弟、代打野本がヒットを放ち、試合にも勝利。問題があればすぐに動く。71歳の表情は満足げだった。【桝井聡】