<日本ハム7-0楽天>◇3日◇札幌ドーム

 後半戦初の本拠地で3発快勝!

 日本ハムは3番糸井嘉男外野手(31)が、5月16日以来となった4回の本塁打を含め1試合2発を放った。4番中田翔内野手(23)は、8回に糸井に続く2者連続アーチなど3安打猛打賞。3、4番を含めマルチ安打6人の計13安打で楽天を下し、首位をがっちりキープした。

 後半戦最初の札幌ドーム。3万人を超える観衆は、クリーンアップのアーチ競演に酔いしれた。4点リードの8回、糸井が左中間へこの日2本目の1発を放つと、続く中田も同じ方向へズドン。中田は「次の打者は力んでしまいがちだけど、甘いボールをしっかりとたたけた。よかった」と2者連続弾を振り返った。

 2人にはそれぞれ、刺激となる熱い夏が訪れている。楽天辛島には前回3打数無安打2三振と抑えられた中田は「ただ1人やられていた。悔しかった」。ボールの見極めをテーマに掲げ、1、2打席ともに左前打でリベンジし、24試合ぶりの猛打賞。母校大阪桐蔭は、春夏連覇を懸けて、夏の甲子園出場を決めた。「練習はきつかったけど、楽しかった」という高校野球の記憶。後輩の頑張りに、刺激を受けないはずがない。

 そして5月16日阪神戦以来、2カ月半ぶりに打球がスタンドインした糸井。お立ち台では「久々すぎて鳥肌が立ちました。アドレナリン満開でした」とニヤリ。出塁率は4割3厘でリーグトップだが、「(相手投手が)1発ある打者の方がイヤだと思う」。悩み、苦しみ、試行錯誤してきた。

 日本中を熱くさせるロンドン五輪。同じ京都北部を故郷とし、出身も同じ宮津高の木崎良子が、女子マラソンの代表として出場している。幼少時代、糸井には決まったランニングコースがあった。その数年後、同じようにそこを走ったのが木崎だという。同じ場所から、スターダムへと駆け上がった。「向こうは五輪だよ」と謙遜するが、首位固めに貢献する1試合2発も、十分に立派な勲章だ。

 球児たちの夏が終わり、世界中を熱狂させるスポーツの祭典が終われば、次の主役は自分たちだ。中田が「残り試合も少ない。貪欲に勝っていきたい」と言えば、糸井は「このまま首位を譲らずに優勝します」。主軸2人の言葉は、力強かった。【本間翼】