<ソフトバンク7-0西武>◇4日◇福岡ヤフードーム

 強気の奪三振ショーだった。ソフトバンクのドラフト1位ルーキーの武田翔太投手(19)が、無傷の3勝目を挙げた。6回1/3を3安打無失点。西武打線から自己最多の10三振を奪った。

 6回1死、初安打から連打を浴び一、二塁のピンチになるとギアを上げた。「三振を取りにいった。打球を打たせないのが一番」と、栗山、秋山に落差のあるカーブで連続空振り三振を奪った。グラブをたたいてほえた。

 4番中村からは3打席3三振。しかも、縦スライダー、外角直球、横スライダーとすべて違う決め球で空振り三振に仕留めた。「左膝が痛くてあれだけスイングしてすごい。ケガをしていたから、ちゃんとした勝負ではない」と謙遜するが、試合後に中村を「ノーコメント」と不機嫌モードにさせるほどの投球だった。

 秋山監督も「自分のリズムで投げているのがすばらしい」とベタ褒め。7回途中、自己最多105球で降板。「最後はちょっとへばって…。しっかり鍛え直さないと」と、スタミナに課題は残した。

 球宴期間は全体練習開始の2時間前に、福岡ヤフードーム周辺の砂浜を1人でランニングしていた。父重次さん(60)が「昔から10準備するところを100準備しようとする」と話すように、プロでも人一倍努力を続ければ、完投できる日も近い。

 3個目のウイニングボールは、30歳の誕生日を迎えた内川へプレゼント。松田離脱で重苦しかったチームの雰囲気を笑顔の19歳が振り払った。【石橋隆雄】

 ▼ソフトバンク武田が10三振を奪って3勝目。高卒新人の2ケタ奪三振は08年唐川(ロッテ)以来で、ソフトバンクでは南海時代の54年宅和(4度)に次いで2人目になる。ドラフト制後(66年以降入団)、開幕から3連勝以上した高卒新人は今年の釜田(楽天)に次いで10人目。ソフトバンクではドラフト制以前を含めても初めてだ。

 武田は初対戦の相手からはすべて無失点の白星を挙げ、防御率が0・77。ドラフト制後、高卒新人が防御率0点台で無傷の3連勝は66年堀内(巨人=0・38)87年近藤(中日=0・73)武田の3人しかいない。