<日本ハム5-4ロッテ>◇18日◇札幌ドーム

 4番がタイムリー欠乏の呪縛を解き、首位をがっちりキープだ。日本ハム中田翔内野手(23)が1回1死一、三塁から中前へ先制打。チーム26イニングぶりとなる適時打で勢いづいた打線は、3回までに9安打を集めて初対決のマシスをKOした。本拠地・札幌ドームでは、3分けを挟んで7連勝。4カードぶりのカード勝ち越しに今季ロッテ戦の勝ち越しも決め、いよいよ首位固めに入っていく。

 打線全体で苦しんでいた呪縛を、主砲のバットが解放した。中田が1回1死一、三塁の好機に、中前へ先制適時打を放った。15日楽天戦の1回に稲葉が打った適時打以来、チームにとっては26イニングぶりのタイムリー。「それは何も考えてなかったですけど…。気にして野球をやってるわけじゃない。でも、しっかりと振れました。先制点は大事なので良かった」。節目の今季50打点目は、貴重な安打から生まれた。

 相手は初対戦のロッテ・マシス。情報が少ないからこそ、やることは簡潔だった。「球を絞って、甘い球があれば自分のスイングをする」。適時打は1ボールからの2球目、続く3回の第2打席も初球を左前に運んだ。ファーストストライクから、積極的に打ちに出た結果だった。

 タイムリーが欠乏している最中、中田はフリー打撃や実際の試合で、新たな試みにチャレンジしていた。きっかけは、各球場の大型ビジョンで流れる「長距離砲列伝」。通算本塁打が300本以上の選手を紹介するVTRだが、グラウンドから眺め、ふと気がついた。「打席で手袋をしていない人が多いな」と。「王さんもそうだし、落合さんも、(山崎)武さんもそう。松井(秀喜)さんも、今は違うかもしれないけど、映像ではしてなかった。(しないことで)何があるんだろう…」。先輩の稲葉らにも聞きに行き、さっそく実践してみた。

 理由はそれぞれの選手によって違うだろうが、中田が感じたのは、ミートポイントの確認だった。「少しでも外れたところで打つと、痛い」。バットとボールが当たる衝撃が直に伝わるため、芯でしっかりととらえないと、両手にしびれるような激痛が走る。痛みは苦しいが、打撃状態のチェックにはもってこい。徐々に、感覚を取り戻していった。

 チームは4カードぶりの勝ち越しで、ロッテ戦のシーズン勝ち越しも決めた。札幌ドームでは3つの引き分けを挟んで7連勝。強い本拠地で、打線が復調気配。その中心に、中田がいる。【本間翼】