<オリックス8-10ソフトバンク>◇19日◇京セラドーム大阪

 ソフトバンクのドラフト1位ルーキー、武田翔太投手(19)が、オリックス戦に先発して5回4安打1失点。苦しみながら変化球で要所を締める「大人の投球」で、パ・リーグ新記録となる高卒新人による無傷の先発4連勝を飾った。チームも同一カード3連勝で、後半戦初の5連勝。楽天に勝って首位に立った西武と2・5差で、明日21日から対決する。

 快記録達成の瞬間はベンチで迎えた。9回に救援陣が何とか逃げ切ると、武田にトレードマークの笑顔が広がった。高卒新人としてパ・リーグでは78年三浦広之(阪急)以来34年ぶりとなる無傷の4連勝。先発勝利に限れば66年堀内恒夫(巨人)以来で、リーグ新記録となった。

 武田

 (記録は)あまり意識してない。コントロールが良くなかった。思ったように投げられなかった。スイッチが入るのが遅かったですね。でも悪いなりに試合は作れたと思う。

 1点リードの初回。1死一、二塁から李大浩に三塁線を破る同点打を浴びたが、続くT-岡田を変化球で空振り三振に打ち取った。その後も走者を出しながら、決して2点目は許さなかった。

 最速は148キロを計測したが、直球の走りはいまひとつだった。「直球は抜け球や、引っかけた球が多かった」と女房役の高谷は言う。ならばと変化球を決め球に多投した。

 7種類の変化球を操る武田は「そのうち2球使えればいい。球種によって調子は毎回違うから」とマウンド上で状態を見極める。この日は縦のスライダーが有効だった。7三振のうち6つを、120キロ前後のスライダーで奪った。とても19歳とは思えない投球術を身につけている。

 この日で30イニングの新人王資格を超え、有力候補に躍り出た。武田と同じ高卒新人で、16日の日本ハム戦で完封し5勝目を挙げた楽天釜田の後を追う。武田も「今の体のデキは向こうの方が上」と認める。ただ「同い年でライバルはいない。自分の理想と戦ってしまうから」と、あくまで自分の投球に集中している。

 秋山監督も「悪いなりにああいうピッチングができるんだな」と評価した。4時間17分の今季最長試合を制したチームは、2・5ゲーム差で、この日首位に立った西武と21日から対決する。【大池和幸】

 ▼武田が5回1失点で4連勝。開幕から4連勝以上した高卒新人は86年相川(大洋)以来26年ぶりで、2リーグ制後は9人目になる。武田の4勝はすべて先発勝利。2リーグ制後、開幕から4連勝がすべて先発勝利だった高卒新人は、53年小山(阪神)66年堀内(巨人)に次いで46年ぶり3人目。パ・リーグの高卒新人では初の快挙だ。ここまで武田は被本塁打が0で、1イニングに3安打されたこともまだない。被打率1割6分1厘、防御率1・08と、19歳の新人が安定感抜群の投球を続けている。