<西武5-4日本ハム>◇22日◇西武ドーム

 逆転の獅子が、逆転優勝へ突っ走る。西武がベンチ入り野手を全員起用する総力戦で、日本ハムとの首位決戦で2試合連続となる逆転勝ちを収めた。1点を追う8回無死一、二塁、渡辺久信監督(47)は5番オーティズに代え、代打に鬼崎裕司内野手(29)を起用。2ストライクから犠打を決め、逆転劇を呼んだ。首位日本ハムとのゲーム差は0・5。今日23日の第3戦に勝てば9月14日以来の首位奪取。早ければ25日に優勝マジック9が点灯する。

 1点を追う8回無死一、二塁、渡辺監督がベンチを飛び出た。ねぎらうように、5番オーティズのお尻をポンとたたき、球審に告げたのは、代打鬼崎だった。命じたのは、重圧のかかる「代打バント」。2ストライクに追い込まれながら、3球目を執念で決めた。渡辺監督を「よく決めたねぇ。あれはプレッシャーがかかるよ」と驚嘆させた決死のバントが、逆転劇を生み出した。

 移籍後初、人生3度目のお立ち台に立った鬼崎は「この場に立てるとは。プレッシャーがなかったわけじゃないですけど、根性で決めました!」と、大声で叫んだ。3安打を放った浅村も「僕たちは最下位からスタートしてるんで、失うものはないです。この3連戦、命懸けでやってます」と、気迫の勝利を強調した。ベンチ入りした野手の全16人が出場しての勝利に、渡辺監督は「総力戦だよ」と、言葉に力を込めた。

 あの日から、チームにスイッチが入った。18日のソフトバンク戦で4連敗を喫すると、渡辺監督は翌19日の試合後に焼き肉店での決起集会を行うと決めた。遠征に参加していたメンバーだけではない。ケガで離脱中のキャプテン栗山、残留調整中のベテラン石井、さらに登板を終えて帰京したばかりの岸も呼んだ。「何かを変えてくれると思ってね」。そして迎えた19日の試合前。渡辺監督はミーティングで選手にメッセージを送った。

 渡辺監督

 よしっ、これからはみんなで楽しんでいこうぜ!

 普段とは違う高いテンション。厳しい言葉を予想し、ピリピリと張り詰めた空気が、一瞬にして変わった。その勢いに任せ、指揮官自らが音頭を取った上で手締めで完結。「楽しむ」のワードとどこか穏やかな雰囲気が、失いかけた思い切りの良さと勢いを取り戻させた。

 勝利への執念は、継投にも込めた。先発石井を1回途中、自身最短となる2/3回で交代。2番手にルーキーの十亀を送った。4回からは「ブルペンリーダー」に指名した岡本篤が3回無失点。1点ビハインドの8回には、セットアッパーの長田を起用し、この試合に懸ける思いを示した。渡辺監督は「みんながやるべきことをわかっている」と評価した。首位日本ハムとの差は0・5。「ナベQ号」が、エンジン全開になってきた。【久保賢吾】