<広島2-3巨人>◇25日◇マツダスタジアム

 巨人阿部慎之助捕手(33)が自身2度目の100打点をクリアした。3回、先制の犠飛が中堅への大飛球。8回、「仕切り直し」で放った打球はバックスクリーンへの特大27号ソロとなった。打率、打点のタイトルはほぼ確定。本塁打もヤクルト・バレンティンに2本差と肉薄した。常軌を逸するパワーの裏には、遊び心からヒントを得た独自のテクニックがあった。

 ドカーンと、ぶっ飛ばした。8回、先頭で打席に入った阿部がマツダスタジアムのバックスクリーンまで完璧な放物線を描いた。広島大竹の146キロの外角シュートを完璧に捉え「通天閣打法だっただろ」と、笑った。自画自賛の今季27号ソロ。原監督も「私が言っていいのか分かりませんが、芸術的。同じ野球人として羨望(せんぼう)のまなざしで見ています」とウットリだ。

 統一球をものともしない飛距離を生み出す打撃技術に対し、独特の理論を持つ。

 阿部

 オフにプロゴルファーとラウンドすると、飛ばしについて話すことが結構ある。野球とゴルフ、飛ばす共通点がある。ゴルファーは「足で飛ばす」って言うね。オレも同感。左足でしっかり蹴って、下半身のでかい筋肉を使って飛ばすイメージがある。

 フィニッシュで直角に曲がる左足首から力を打球に伝える動作に飛ばしのポイントがあると言う。地面に接地している左足を起点に、全身の力を打球に伝えている。

 オフの間、趣味にしているゴルフでは500ヤード(約457メートル)後半のロングホールで2オンすることもしばしばで、170ヤードのショートではPW(ピッチングウエッジ)を選択する。PWの一般的な飛距離は約100ヤードで、タイガー・ウッズら一流プロでも150ヤードということを考えれば、規格外の飛距離だ。むろん、ゴルフでは飛距離がすべてではないが「超・飛ばし屋」の類いに入る。

 フィニッシュを一定に保つためには右足にも注目すべき点がある。タイミングを取るために1度、上げた右足は踏み込むときに再び同じ位置に戻ってくる。大半の選手は、元の位置よりも投手寄りに下ろすことが多いが、阿部は「スタンスが広すぎると体が回転しにくくなる。飛ばそうと思ってスタンスを広げるのは逆効果」と解説。体の回転から生み出す遠心力も飛距離の要因としてプラスされている。

 推定125メートルの1発で大台の100打点にも到達。漫画ドカベンに登場する坂田三吉は、ゴルフスイングのようなフォームで天高く打ち上げ、スライスしながら落下することで落球を誘い、ランニングホームランを狙う。だが、阿部の「通天閣打法」は、そのままフェンスを悠々と越す飛距離がある。【為田聡史】