<西武3-2楽天>◇25日◇西武ドーム

 勝負の10連戦を迎えた西武が、その初戦で好スタートを切った。先発の菊池雄星投手(21)が、8回途中2安打2失点の好投。前回18日のソフトバンク戦は制球難を露呈させ、4回3失点でKO。2軍降格の覚悟を持って臨んだマウンドで、結果を出した。首位日本ハムが引き分け、ゲーム差は1。ジワリジワリと追い詰める。

 勝負球の選択に、迷いはなかった。7回2死、西武菊池は全身の力を、指先に込めた。4番ガルシアのバットが空を切る。スタンドからわき起こる歓声とともに、スコアボードに刻まれたのは、この日最速の148キロだった。「今日の真っすぐだったら、勝負できると思って。気持ちを出して投げた」。外国人打者を相手にも、力勝負でねじ伏せる威力があった。

 打者よりも、心との勝負だった。前回18日のソフトバンク戦は、1イニング4四球を与え、自滅で4回3失点。「1人で野球をしてしまって…。2試合連続であんな崩れ方をしたら、ファームだな」と覚悟。悪夢を拭い去るには、結果を残すしかなかった。得点を奪った直後のイニングでの乱調、突然襲われる制球難。全てを「僕の場合は心なんです」と分析するが、無心の投球で、その弱さを乗り越えた。

 手を差し伸べてくれたのは、渡辺監督と先輩たちだった。中島、岸からは「(チームを)背負うのは俺たちでいいから。お前は好きなようにやってくれ」と助言を受けた。渡辺監督からも「背負うとか、そんなことは考えず、全力で投げればいいんだよ」と諭された。「悔しさもあります。まだまだ、自分はそこまでのピッチャーだということなので」。素直な気持ちものぞかせたが、肩の力がスッと抜けたのも事実だった。

 8回無死一、二塁で、降板を告げられ、拍手がわき起こっても、表情を崩さなかった。「(今季は)完投、完封が1試合もない。そこまでいって次のステップに進める」。昨季に並ぶ4勝目を挙げたが、本当の意味で信頼を得るための“壁”を、次の課題に定めた。渡辺監督は「あそこまでよく投げてくれた。打者に向かっていくピッチングができた」と、投球内容とともに精神面での成長も認めた。首位日本ハムが引き分けて、ゲーム差は1。勝負の10連戦を、白星で踏み出した。【久保賢吾】