ワールド・ベースボール・クラシック(WBC)3連覇を目指す日本がアドバンテージを握った。WBC主催者は25日(日本時間26日)、来年3月に開催される第3回大会の組分けと日程を発表。日本は1次ラウンド(3月2~6日・福岡ヤフードーム)、勝ち上がった場合の第2ラウンド(同8~12日・東京ドーム)とも日本開催の「地の利」を得た。組み合わせは準決勝まで、ほぼメジャーで編成する米国、中南米勢を回避し、日程的にも理想的なローテーションで臨めることになった。

 第1回からWBCを連覇する侍ジャパンが「第1シード」の特権を得た。初めて第2ラウンド(R)まで日本開催となり、ベスト4まで地元の大声援を味方につけることになった。第1RのヤフードームではWBC初開催で、第2Rの東京ドームは3大会連続となる。日本プロ野球選手会が1度は不参加を表明した難局を乗り越えたことで、大リーグ機構のアーチー副会長は「参加してくれるものと信じていた。日本のファンは今回、代表チームの試合を6、7試合観戦できる。日本にとってもうれしいことだろう」と話した

 対戦相手にも恵まれた。第1Rはキューバ、中国、予選ラウンド突破から1カ国が入り、総当たりのリーグ戦で上位2チームが第2Rに進出する。最大のライバルになるキューバは第1回の決勝、第2回の第2Rに続いて3大会連続の顔合わせ。ただ「赤い稲妻」と恐れられたアマ最強国も、最近は亡命による主力の流出が止まらず、昨年は3度の国際大会で無冠に終わった。WBC通算では日本が3戦全勝中で、戦力的には未知なところは多いが、11月に予定する親善試合で情報収集に臨める。

 敗者復活のある変則トーナメントで戦う第2ラウンドでは、B組の本命・韓国との因縁マッチが濃厚。もう1チームは11月の予選Rから出場する台湾、前回8強入りしたオランダになりそうだがホームの利、戦力的に日本優位は動かない。またオールメジャーでチーム編成できる米国、ドミニカ共和国、ベネズエラ、プエルトリコが別ブロックでつぶし合うことは追い風だろう。

 日程的にもゆとりがある。キャンプから第2Rまで国内移動のみで、勝ち上がれば米国入り後、準決勝まで中5日前後の調整期間を設けられた。規定で先発には球数制限、救援には連投の制限があり、投手の起用法が勝利のカギを握るのは今大会も変わらない。第2Rの2組が東海岸から西海岸まで移動日なしで準決勝に臨むことを考えれば、同1組は余力を持って臨めそう。アーチー副会長は「ラウンドの対戦方法を変えるなどして、過去2回をミックスした」と新方式に満足したが、中身は日本のV3を後押ししているかのようだった。

 ◆中国

 前回は元オリックスのコリンズ監督(現メッツ監督)がチームを率い、日本に0-4と善戦。敗者復活戦で台湾を4-1で下し、大会初勝利を挙げた。代表メンバーは国内リーグ中心。ただ02年に発足した中国野球リーグはスポンサーの撤退などで、年間10試合程度と伸び悩む。08年までアジアシリーズには単独チームではなく、リーグ選抜で出場した。

 ◆キューバ

 前回メンバーから左腕チャプマン(レッズ)、セスペデス外野手(アスレチックス)と投打の主力が亡命。次世代を支える若手もメジャーに大量流出し、一時期の勢いはない。昨年はアメリカ大陸選手権で40年ぶりに優勝を逃した。現代表は国内リーグで今季3冠を狙えそうなアブレイユ、前大会も主軸のデスパイネ、グリエルが打線を支える。