<西武2-3楽天>◇26日◇西武ドーム

 逆転CSを諦めない。楽天銀次内野手(24)が2本の適時打を放った。西武牧田に対し、1回1死二塁で先制の中前打。3回にも2死一、三塁で中前打を放ち、2点目を奪った。負ければ自力CS消滅の可能性もあった崖っぷちで、貴重な働きだった。4位に再浮上し、敗れた3位ソフトバンクと再び3ゲーム差。残り10試合。勝ち続けるのみだ。

 変則右腕に惑わされなかった。1回1死二塁。銀次は「逆方向を意識して」、西武牧田の外に落ちるチェンジアップにバットを伸ばした。中前に抜ける先制打。ベンチの星野監督も手をたたく。3回にも適時打を続けた。1点差の接戦で、3番の重責を果たした。

 屈指の練習量で打撃が開花。8月中旬には初めて規定打席に達したが、星野監督からは「関係ないところで打って」と小言が絶えない。「自分でも分かっていた。チャンスに強くなるのが今年の目標。初めてできた気がしますね」と人懐っこく笑った。今春キャンプ。枡田、阿部とともに「泥んこ3兄弟」と呼ばれ、徹底的に守備を鍛えられた。だが、他の2人は故障もあり離脱。ただ1人、1軍に残れたのは「親に感謝」という強い体のおかげだ。

 今年の夏、立派な体をはぐくんでくれた故郷への思いを、あらためて強くした。甲子園大会決勝で青森・光星学院が敗れたニュースを目にした。「勝てませんでしたね」と寂しそうにつぶやいた。八戸にある同校は、生まれ育った岩手・普代村に近い。強肩捕手でならした中学時代、実は同校関係者の訪問を受け、入学を勧められた。悩んだ。最後は「岩手のメンバーで甲子園に行きたい」と、県内出身者が多い盛岡中央を選択。夢はかなわなかったが、自分も通っていたかもしれない同じ東北の学校の快進撃に心を躍らせた。

 3位に再び3ゲーム差。「東北に朗報を届けたいか」と問われ、「もちろんです。最後まで諦めません」と元気よく答えた。好物は「ばあちゃんが、よく作ってくれた。うまいんですよ!」と自慢する郷土料理「どんこ汁」。栄養いっぱい、三陸の魚も血肉となっている。「プロ野球選手になってなければ、トラック運転手か漁師になってました」と笑う快男児が、東北のみんなの希望をつないだ。【古川真弥】