日本ハムが、混戦パ・リーグを制した。優勝マジックを1としていた2日、試合はなかったが、2位西武がロッテに敗れたため、3年ぶり6度目のリーグVが決まった。

 育成システムに定評のある日本ハムだが、ドラフト戦略でも、ぶれがない。「即戦力の先発型投手には人気が集中する。獲得できなかった場合に備えて、下位指名で他球団が目を付けないような即戦力の中継ぎ候補を狙う」(山田正雄ゼネラルマネジャー=GM)というのが、近年の傾向だ。他球団が敬遠する選手でも、あくまで能力重視で評価を下し、大学・社会人出身の即戦力を獲得してきた。

 統一ドラフトとなった08年以降、10年新人王の榊原、中継ぎエースの増井、中継ぎから終盤は先発としてもローテの谷間を埋めた谷元、ルーキー森内ら、多くの社会人出身投手が入団早々から活躍している。166センチの身長がネックとなり、社会人チーム探しすら苦労した谷元。27歳でプロ入りした森内も、球界の常識からすれば高齢ルーキーの部類だ。遅咲きゆえにまったく注目されなかった増井の場合、制球難が指摘されていたが「真っすぐには威力があり(フォームを)1カ所直せば活躍できると思った」(同GM)と、直感を信じての指名となった。

 今季、ダルビッシュの穴を埋め、エース級の成長を遂げた吉川ですら、前半戦の完投数はゼロ。中継ぎ投手の助けがなければ、白星を重ねることはできなかった。3季ぶりのリーグ制覇を支えた人材豊富なブルペンは、高い編成力のたまものと言える。【中島宙恵】