中日高木守道監督(71)が秋季北谷キャンプ初日の6日、いきなり猛ハッスルだ。高橋周への至近距離ノックなど内野守備指導のほか、外野守備、走塁、打撃、バッテリー指導と八面六臂(ろっぴ)の大活躍。夜間ミーティングも開き、守道塾は9時間超に及んだ。すべてはV奪回に必要な若手底上げのため。2年目守道劇場は秋からアチチだ。

 堂上直がひざまずいた。松井雅は足がつった。若竜を息絶え絶えにまで追い込み、納得の笑みを浮かべたのは高木監督だ。「どうってことないね。でも動きは悪くない」。7年ぶりに復活した秋季北谷キャンプ初日は予告通り、7時間半超に及ぶ地獄練習になった。だが孫世代の20代相手に一番ハッスルしたのは71歳。竜の将が教え魔と化した。

 手始めは堂上直、谷、岩崎恭、吉川への内野送球指導だった。殿堂入りの元名二塁手は「取ってから素早く」の模範演技を実演。息つく間もなく室内へ移動すると捕手の田中、松井雅をつかまえ二塁へのスローイング指導だ。「練習では100%、タッチできる所に投げんと。50%じゃ話にならん。試合は投手が盗まれたり空振りもあるんだ」。

 ランチもそこそこ。午後からは堂上剛に走塁指導を施すと、ノックバットを握った。福田と高橋周を相手にマンツーマン、至近距離ノックを100本ずつ浴びせた。左右に振られて汗だくの2人を横目に、今度は堂上剛、谷、田中に外野のアメリカンノックを計100本。その後も休まず堂上直、岩崎恭、田中らに打撃指導を行うと、あっという間に夕暮れとなった。

 「じっと見てる方が苦痛。まだいけますよ。ぶっ倒れるかもわからんけど」。バテたのは選手の方。周囲の心配をヨソに豪快に笑った。だが、鬼になる理由は明確だ。

 「落合監督時代、8年間Bクラスを知らない今のレギュラーを追い越すのは大変。でもそのベテランに代わる、イキのいい若い選手が出てきてほしいんだ」

 覇権奪回には、世代交代が不可欠。夜は自ら講師役となり、野球脳を鍛えるミーティングを1時間半も行った。「ベテランとの差は経験の差」。昼の練習と合わせ、守道塾は初日から9時間を超えた。「どれだけ理解して消化するか。変わる姿を楽しみにしてます」。日本一元気な71歳?

 が、沖縄でシゴキ倒す。【松井清員】