竜のエースがG倒査定を認められた。中日吉見一起投手(28)が11日、名古屋市内の球団事務所で契約交渉を行い、2000万円アップの年俸2億9000万円で更改した。5年連続2桁勝利となる13勝を挙げ、巨人戦には7試合に登板して2完投を含む4勝1敗、防御率1・32。球界NO・1のGキラーぶりを評価され、年俸アップに一発サインした。(金額は推定)

 ダウンも覚悟したエースに思わぬ評価が待っていた。交渉スタートの提示額は現状維持。1時間がたち、2000万円アップに変化した。最大の評価ポイントはライバルを圧倒したインパクト。会見場に現れた右腕はスカッと晴れやかな表情だった。

 「巨人戦のことばかりだった。どこに勝っても一緒だけど、10ゲーム差以上を空けられているのでそこに勝たないと。上げていただいただけでありがたい」

 評価は想像以上に高かった。今季登板は19試合。5月左太もも痛、9月右肘骨折と2度の離脱が大きく影響し、138回2/3と規定投球回に達することができなかった。だが、球団は交渉を進める上で、今季4勝を挙げた巨人戦での奮闘に価値を見いだした。佐藤代表は「来年、巨人を倒して優勝するという大方針を託するに足る評価」と期待度も込めた。

 ユニホームを脱いでも選手会長という役職を果たした。ファンサービスの旗振り役となり、今オフも学校訪問など新しい試みを実現させた。交渉では来季のインセンティブも断ったこともあり、ベースの年俸がアップした。G倒査定&会長特別給&出来高拒否が昇給につながったようだ。

 「ケガをして終わってるので不安はあります。ただ、選ばれている限りはしっかりと調整していきたい」。WBC日本代表候補の1人。会見後は大急ぎでナゴヤ球場に向かい汗を流した。日本一球団に強い28歳はオフも日本一忙しい。【桝井聡】

 ◆各球団エースのG戦

 巨人相手に4勝は両リーグ最多で、3勝を挙げた投手もいない。吉見の成績は各球団エースと比較しても出色だ。広島前田健は巨人戦に1勝したが登板はわずか1試合。ヤクルト石川は5試合で2勝0敗、防御率2・91だったが、館山は2試合で0勝2敗、防御率4・91。阪神能見は5試合で2勝3敗、防御率2・61、DeNA三浦は2試合で1勝1敗、防御率3・00だった。