右肩痛を乗り越えて念願の大台だ!

 広島大竹寛投手(29)が12日、マツダスタジアムで契約更改に臨み、3500万円増の年俸1億円でサインした。右肩痛を克服して3年ぶり3度目の2桁勝利となる自己新の11勝を挙げ、カムバック賞を受賞した。10年の9500万円から減り続けた年俸を大台まで引き上げた。来季目標は、自身初の2年連続の2桁勝利だ。(金額は推定)

 落ち着いた中にも笑顔を見せる。3500万円アップで念願の1億円。大竹は希望に満ちあふれた表情で会見場に現れた。

 「うれしいですね。大台をもらえて来季への自信につなげていきたい。1億円プレーヤーになりたかった。そこは評価してもらったと思う」

 本当は年俸をもう少し上げてもらいたい気持ちもあった。しかし、大台という響きをかみしめて快くサインした。今季は自己最多の11勝と3年ぶりの2桁勝利をマークした。防御率も2・36と自己記録を更新。右肩痛から復活して、カムバック賞を受賞した。

 右肩の痛みに2年間、苦しんできた。10年に9500万円となった年俸は6500万円まで下り続けた。今季開幕時も右肩の違和感と戦っていたことをしみじみ振り返った。

 「春先は力を入れて投げられなかった。しっくりきていなかったが、そんなことを言っていられなかった」

 不安から解放されたのは今季初登板だった。地元開幕戦となった4月3日巨人戦で7回無失点に抑えて初勝利。そこから快進撃は始まった。「巨人戦で勝てたのは自信になった。手ごわい相手にやれたのはよかった」ときっかけをつかんだ。

 今オフには右肩と右肘の検査をして現状では異常なしという診断を受けた。「大丈夫とは思っていない。そう思う余裕はない。じっくり肩をつくっていく」と細心の注意を払っていく。目標は自身初の2年連続2桁勝利と200投球回、チーム初のCS進出に導くことだ。

 「2年連続でよかったことがない。力を安定して出せれば。これからが大事です」

 来季は残り17日で国内FA権を取得する。先発ローテーションで日本人最年長となる男は飛躍を止めるつもりはない。【中牟田康】