ヤクルト宮本慎也内野手(42)が、FA宣言中の人気マスコットにまさかの「喝」だ。19日、チームの大トリとして都内の球団事務所で契約更改交渉を行い、3500万円ダウンの1億6500万円+出来高払いでサインした。今季は、右肋(ろく)軟骨骨折で8月に約1カ月離脱。「2000安打は達成したけれど、いいシーズンではなかった。ケガをした時に辞める決断をした」と告白。小川監督、球団の慰留で翻意し、現役続行を決めた経緯がある。

 だからこそ、来季の目標は優勝のみ。そんな勝負の年の前に、オフの話題はFA宣言中の「つば九郎」がさらっている。「出ていきたきゃ、出ていけという感じ。僕もFA持ってちょっと考えた時期はありましたけど、軸がぶれなければすぐ決まると思う。それをダラダラやっているので、出ていってもらってかまいません」と突き放した。

 シーズン中、神宮に入場する宮本が一塁側スタンドのファンにサインする際、「つば九郎」が宮本のバッグを受け取りベンチに運ぶ。試合前恒例の「儀式」を共にする、深い間柄だからこその厳しい言葉だ。既に4団体と交渉しながら結論を出さない“相棒”へ「自分で権利を行使したんですから勝手にどうぞ」と続けた。

 宮本自身は、初めて名球会に参加したハワイで、ランニングなどを行い、19年目のシーズンへの準備を始めた。43歳となる来季に向けて、自身の引き際についての話題は封印する。「辞めるって決めた時は言いますので、それまでは来年優勝するために頑張ります」と言った。チームリーダーとして、覚悟を持って戦う。こんな言葉を、「つば九郎」はどう感じるのだろうか。【前田祐輔】