2013年「大谷元年」が幕を開けた。メジャー挑戦表明から一転、ドラフト1位で日本ハム入りした大谷翔平投手(18=花巻東)。高校で春夏連覇した甲子園の申し子、阪神1位藤浪晋太郎投手(18=大阪桐蔭)にあてた直筆年賀状には、並々ならぬ決意がみなぎった。ライバルであり、盟友である2人が立てた新年の誓いとは。高校球界を沸かせ、プロの世界へ飛び込む大物コンビが描いた未来図を、新春クロストークでたっぷりお届けします。

 間もなく入寮し、新人合同自主トレが始まる。本格的なプロ生活へ向け、現在行っている練習は。

 大谷

 新人合同自主トレまでに重点を置いているのは、体作りですね。プロの方に比べて、今は全然体力がないと思うので。体作り、食事も含めて力を入れてやっていきたいと思っています。食事の量は朝2~3杯と、夜7杯くらい。現役時代と大体一緒です。

 もともと食が細かった大谷だが、高校入学とともにパワーアップ。新人合同自主トレが始まれば自然に体重が落ちることから、現在は90キロを目標に増量中だ。

 大谷

 ピッチングは、後輩の練習で打撃投手をしたり…。バットは木製になるので、しっかり慣れていかないと。今は木製バットで練習していますが、結構折れるので(笑い)、早い時だと3日に1本くらい折っていたんですけど、最近は少しずつ慣れてきて、あまり折ることはなくなりました。

 藤浪

 キャッチボールやピッチングという技術練習もしてますけど、冬場なのでトレーニングを中心に。正月休み以外は、しっかり練習しておきたいと思っています。

 プロ入りの準備を着々と整える2人に、理想の選手像を挙げてもらった。

 大谷

 高校時代は甲子園でもそうでしたけど勝てなかったので、勝つピッチャーになりたい。バッターではホームランとかではなく、しっかり打点を稼げる、チャンスで打てる、そういうバッターになりたい。稲葉さんの打ち方や勝負強さがすごく好きです。

 藤浪

 勝てる投手になるのが目標。勝ちにこだわるというところは貫きたい。

 大谷

 ダルビッシュ選手(レンジャーズ)に憧れて、尊敬もしています。投げている姿、ピッチングスタイルが格好いい。東北高校にいて身近に感じていましたし、中学生の時にはフォームをまねしたりしていました。

 ダルビッシュが付けた日本ハムの背番号11を託された大谷は、野球人としても前エースの足跡を道しるべに、プロでの目標を定める。

 大谷

 偉大な番号なので、負けないように練習したい。自分が納得しても、周囲が納得してくれないと意味がないので、認めてもらえるようなものを身に付けられたらと思います。24~25歳までには、自分のものを確立して自信をつけたいですね。今のままでは1軍にもいけない。バッターでもピッチャーでも、将来はタイトル争いの常連になれるような選手にならないと。

 大谷の最終的な目標は、やはりメジャー挑戦だ。26歳になる年に海を渡ったダルビッシュの生き方は、良き手本。藤浪のような同世代のライバルたちと切磋琢磨(せっさたくま)し、新たな伝説を作りながら、確かな実績を積み上げて夢を追う。【取材・構成=中島宙恵、山本大地】

 ◆クロストーク

 大谷には花巻東、藤浪には大阪桐蔭でそれぞれインタビュー。全く同じ質問などを重ねて、対談形式に構成した。